第7章|「普通」に見える非日常
麻痺・灼熱感・アロディニアと暮らす
術後1年。外から見れば、私は「普通」に暮らしているように見えます。
歩くこともできるし、買い物や旅行だって行ける。
見た目だけを見れば、健康な人と変わらないでしょう。
けれど実際には、胸から下に痺れと痛みが常に残っています。
背中や左胸には、突き刺すような鋭い痛み。
太ももやお尻、かかとには焼けるような灼熱感。
特に厄介なのは「アロディニア」──軽く触れるだけで痛みを感じる症状です。
服の裾が触れるだけでピリピリとした痛みが走り、下半身全体が過敏な状態にあります。
外からは見えない。けれど内側では、毎日が戦いです。
腹筋の力と生活の細かな変化
腹筋にも力が入りにくくなり、排便に時間がかかるようになりました。
これは人に話すのがためらわれる地味な不調ですが、日常生活では大きな負担です。
また、手術前にはほぼ毎晩のように飲んでいたお酒も、服薬の関係でやめました。
「自分がお酒をやめるなんて」と当時の私からは想像できません。
でも、今は飲まなくても平気になり、生活そのものが変わってしまいました。
専門病院と再生医療への希望
そんな日々の中で、神経疼痛の専門病院へも通いましたが、やはり神経ブロック注射での対応。ブロック注射は2週間に一回、打ち続ける必要がある。しかも、痛みが軽減できるのは、限定的。なので、私はその選択をしなかった。今は、強めな痛み止めの薬を飲み続けています。
今は、完全に治る保証はなくても、新しい治療法や情報を探しています。
また「再生医療」にも関心を持っています。
脊髄損傷の治療はまだ未知数ですが、神経が回復する可能性があるなら挑戦したい。
費用が高額でも、「未来への投資」になるかもしれません。
痛みは今も変わらずあります。
けれど、希望があるだけで「今日を頑張ろう」と思えるのです。
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📖 脊髄腫瘍 闘病記シリーズ
- 全体像・目次
- 序章|「背中の違和感」から始まった物語
- 第1章|背中が告げた異変
- 第2章|手術の日
- 第3章|目覚めと入院生活
- 第4章|もう一度走る──100日目の挑戦
- 第5章|働き方を選び直す
- 第6章|痛みと制度の壁
- 第7章|「普通」に見える非日常
- 第8章|価値観の変化
- 第9章|読者へのメッセージ
- 最終章|痛みと歩幅、そしてこれから
