第1章|背中が告げた異変
最初のサインは「背中の違和感」でした。
ただの疲れだろう、と自分に言い聞かせて過ごしていましたが──数日経っても治る気配はありません。
雷のような痛みと“放置の怖さ”
咳をした瞬間に「ビリッ」と電気が走る。
自転車で小さな段差を越えるだけで、背中全体に“雷”が落ちたような痛み。
そのたびに身体が跳ね上がり、呼吸も止まりそうになりました。
「さすがにおかしい」
そう思いながらも、病院に行くまでに時間がかかりました。
正直、どこかで「病気じゃない」と思いたかったのかもしれません。
けれど、今振り返ればこの“先送り”がいちばん危険でした。
もしあのまま放置していたら、歩けなくなっていたかもしれません。
MRIで見えた2cmの影
ようやく病院でMRIを撮ったとき、画面に映し出された白い影。
胸椎の中に2cmほどの腫瘍が写っていました。
「脊髄腫瘍。硬膜内髄外腫ですね」
医師の説明を聞いても、頭がついていきませんでした。
「腫瘍」「手術」──重たい言葉だけが胸に突き刺さり、身体の芯から冷えていく感覚。
「よく歩けてますね」と言われた現実
さらに医師から告げられた言葉が忘れられません。
「この状態なら、普通は歩けていないはずですよ」
その一言で、ようやく自分がギリギリの状態にいることを理解しました。
胸から下はすでに痺れていて、夜は痛みで何度も目が覚める。
朝は支えがなければ立ち上がれない。
当たり前だと思っていた日常が、確実に削られていっていたのです。
👉 [脊髄腫瘍 闘病記シリーズの目次へ戻る]
https://ryublog11.com/disease%e3%83%bbhealth/table-of-contents-for-spinal-cord-tumors
📖 脊髄腫瘍 闘病記シリーズ
- 全体像・目次
- 序章|「背中の違和感」から始まった物語
- 第1章|背中が告げた異変
- 第2章|手術の日
- 第3章|目覚めと入院生活
- 第4章|もう一度走る──100日目の挑戦
- 第5章|働き方を選び直す
- 第6章|痛みと制度の壁
- 第7章|「普通」に見える非日常
- 第8章|価値観の変化
- 第9章|読者へのメッセージ
- 最終章|痛みと歩幅、そしてこれから
