脊髄腫瘍の術後しばらく経ってから、
「雨の前になると痛みが強い」「体が重い」「足の痺れが悪化する」
そんな日が確かに増えてきました。
最初は「気のせいかな」と思う。
でも、何度も繰り返されるうちに、
気圧の変化=症状の波
が自分の体で確かに起きていることに気づきます。
天気痛は、怠けや思い込みではありません。
“身体の仕組み”として説明できる現象です。
この記事では、
脊髄腫瘍の術後に天気痛が起こりやすい理由と、
実生活でどう折り合いをつけていくかをまとめています。
そして後半では、私自身が術後一年以上たっても続く
「天気の波」と向き合う日々の体験を書いています。
天気痛とは何か
天気痛は、「気象病」あるいはその一種として「気圧痛」と呼ばれることがあります。
気圧・湿度・温度などの変化が、神経や血管の働きに影響し、
痛み・頭痛・疲労・倦怠感・だるさを引き起こす現象です。
気圧の低下で体に何が起きるのか
・気圧が下がると、体への圧力が減り、血管が拡張しやすくなる
・血管の拡張は敏感になっている神経を刺激しやすい
・自律神経が乱れ、痛みや痺れが増幅する
・術後の神経は「過敏モード」のため反応しやすい
なぜ脊髄腫瘍の術後は天気痛が出やすいのか
脊髄腫瘍の術後は、神経が「正常な状態」に戻るまで、
非常に時間がかかります。
① 術後の神経は“過敏モード”になっている
手術では腫瘍だけでなく、周囲の神経にも負荷がかかります。
術後の神経は、少しの刺激(気圧・温度・疲労)にも反応しやすい状態です。
② 自律神経が崩れやすい
手術後の回復期は、体力もストレス耐性も落ちています。
気圧変化に弱くなるのは自然なことです。
③ “気圧×疲労”が痛みを倍化させる
術後は疲れやすく、少しの負荷も大きく響きます。
気圧が下がる日は「疲労の残り具合」で症状が全く違います。
術後1年以上経っても天気痛は続くのか
結論は、
続く人は多い。むしろ珍しくない。
神経は回復にとても時間がかかる組織だといわれていて、
「痛み・痺れ」は最後まで残る症状だからです。
ここからは私自身の体験|1年以上経っても続く、波のある痛み
私は手術して1年以上が過ぎました。
でも今でも、
“どのタイミングで痛みが強く出るのか”を明確に説明できません。
というのも、
・いつも同じ場所が、
・同じ強さで痛むわけではなく、
・同じ姿勢のときだけ痛むわけでもなく、
本当に波があるからです。
これと言った状態で、決まって痛くなってくれないことが、
一番厄介です。
冬は痛む箇所が多い
季節でいえば、
夏より冬のほうが明らかに痛む箇所が増えます。
私の場合は、
・胸
・肩甲骨まわり
・お尻
・左太もも
・右の足指先
・その他
このような複数の箇所に慢性的な痛みがあり、
その痛み具合は、冬のほうが強く出ます。
また、夏場は収まっていた痛みが、少し肌寒いと感じる季節から
出始めてくることもあります。
雨と痛みの関係を“記録”していた時期
一時期、
「気圧と痛みには明確な関係があるはずだ」
そう思って、
hPaと痛みを記録していた時期がありました。
しかし、答えは出ませんでした。
というのも、気圧を正確に測れる装置がなく、アプリなどで確認するのですが、
表示されているのが「何時点の値」なのか、具体的な場所も分からなかったからです。
気圧の数字よりも、
自分の感覚のほうが正確だと今は思っています。
「雨が降っている時」よりも「降りそうな時」に痛む
特に、
・雨が降り出しそうな時
・空が急に暗くなった時
・曇りに変わり始めた時
このタイミングで痛みが強く出ることが多いと感じます。
ただし、梅雨など雨が続く時期は、
晴れの日に比べて確実に痛みが増す、
というのは実感としてあります。
もちろん、痛くない時もあります。
あくまで、感覚的に天気が崩れそうな時に多い傾向があるということで、
科学的な根拠は分かりません。
夕方に痛みが強くなる
私の場合、朝よりも夕方にかけて痛みが強くなります。
恐らく、朝起きてから神経が過敏な状態で生活を続けることで、
夜になると疲れが溜まり、痛みが強くなるのではないかと思います。
私は週1回リハビリに行っていますが、
時間の許す限り、1日1時間ほどの運動をします。
体の血行が良くなることや、筋肉を使うことで痛みが軽減され、
特定の箇所については数時間痛みがなくなります。
通常、痛みが出てくると動くのもイヤで、外に出るのもイヤになります。
特に、寒くなってくると元気な人でも外に出るのがイヤだと思いますが、
さらに出ていくのが億劫なんです。
けれど、それをガマンして運動します。
具体的には、
・ジョギング(歩くだけでもいいと思います)
・痛みのある個所を、体を使って大きく動かす
→ 私の場合は胸・肩甲骨なので、腕を大きく振って歩き、
腰を軸に左右に交互にひねるようにして歩きます。
・なるべく汗をかくようにする
※ほかに具体的に書いても、すべての方に当てはまるわけではないのでここでは詳しくは書きませんが、
体を動かして汗をかき、血流をよくすることで、私はその時はいったん痛みが改善しています。
さらに、
以前は朝昼夜と痛み止めを飲んでいましたが、
効き目が弱く感じるようになり、
今は頓服で“ここぞ”の時間(夜)に絞って飲むようにしています。
どうしても耐えられない日もある
日によっては、
天気に関係なく「もう無理だ」という痛みがあります。
そのときは、
その日にやるべきことをスパッとあきらめます。
私の対処法は、
左の脇腹を床につけて横になること。
痛い部分を圧迫すると、痛みが軽くなるのです。
※人によって痛みの箇所は違うと思いますが、私は痛い箇所を押さえつけて、じっとしています。
私はその日を、
「体のリセット日」
と呼んでいて、自分の体をいたわる日にしています。
痛みのつらさは“理解されにくい”こと
痛みのつらさは、
家族にも医師にも、完全には伝わりません。
薬が効く日もあれば、まったく効かない日もあります。
そうなると、
家で一人で痛みと戦うしかありません。
でもこの“もがいている姿”は誰にも見えない。
孤独で、自分と戦うしかないのが、一番つらいところです。
そして、これほど痛みに生活を乱されているのに、
国の制度で助けてもらうことは難しい。
仕事に支障が出ていても、です。
この理不尽さについては、また別の記事で書こうと思います。
この記事を読んでくれたあなたへ
何の励ましにもならないかもしれませんが、
もし今、この記事を読んでいるあなたが
痛みで苦しんでいるなら——
私も同じです。
逃げ出したくなる日なんて、山のようにあります。
“一緒に戦いましょう”という軽い言葉は言えませんが、
辛くなる気持ちは痛いほどわかります。
この記事を書いたことで、あなたの心が少しでも
落ち着く瞬間があるなら、書いた意味があります。
制度を変える力は私にはありません。
でも、発信し続けることで、
いつか救われる人が増える世の中になればと思っています。
まとめ|天気痛は“弱さ”ではなく、体の反応
天気痛は、
「気のせい」でも「怠け」でもありません。
脊髄腫瘍の術後の身体は、
気圧の変化にとても敏感です。
重要なのは、
体の波を責めないこと。
そして、
仕組みを知って、折り合いをつけること。
あなたの痛みは、あなたのせいではありません。
