痛みがある体で働くということ

手術が終わり、退院して、
「ここからまた働けるようになっていくはずだ」
そう思っていた時期がありました。

けれど現実は、思っていたよりもずっと難しかった。

痛みはすぐには消えなかった。
朝、体を起こすだけで息が詰まる日がある。
長く座れば腰から足にかけて強い違和感が走る。
夕方には体が言うことを聞かなくなる。

その中で感じたのは、
“働く”という行為が、健康な体を前提に設計されているという事実でした。

目次

痛みに合わせて働くという発想は、今の社会にはほとんどない

会社勤めをしていた頃は、
“働くこと=会社に行って、決められた時間働くこと”
という常識の中で生きていました。

痛みがある体には、この常識が合わない。

・朝の痛みで動けない日がある
・午後に一度横にならないと体が持たない
・座り続けると痛みが悪化する
・天気や寒さで痛みが強く出てくる

こんな波のある体で、
“毎日同じリズム” で働くのは現実的ではありませんでした。

そして気づきました。

「体調に合わせて働ける仕組みは、社会の中にほとんど存在していないんだ」

これは、病気になって初めて見えた現実でした。


働けないことへの焦りと、働きたい気持ちのあいだで揺れ続けた

手術後の数ヶ月は、
“痛みで働けない自分への罪悪感”と
“働きたいのに働けない焦り”がずっと心の中にありました。

「今日はここまでが限界かもしれない」
「休みたいけれど休んだら収入が減る」
「また痛みで何もできなかった…大丈夫だろうか」

体の痛みより、
“働けない自分を責める気持ち” のほうがつらい日もありました。

でも、ある日ふと思ったんです。

「痛みのある体で働くということは、健常の働き方に合わせるのではなく、働き方を体に合わせることなんだ。」

ここで考え方が大きく変わりました。


フリーランスを選んだ理由は“自由”ではなく“必要性”だった

フリーランスを選んだのは、
かっこいい理由ではありません。

“もう以前のように働けない”
この現実を受け入れたうえで、
働き続けるために選んだ唯一の道でした。

・体調に合わせて作業時間を変えられる
・痛みが強い日は休める
・移動がゼロになる
・無理のない範囲で収入を積み上げられる

痛みがある体には、
“働き方を自分で調整できる仕組み”が必要でした。

フリーランスは自由な働き方と言われますが、
私にとっては
「体を守りながら働ける環境をつくるための選択」
でした。


痛みと付き合いながら働くために、私が続けている工夫

完璧ではありませんが、
「これがなければ働けなかった」という工夫があります。

① 朝イチは必ず“体の状態を確認する”

起きた瞬間動けない日は、午前は何もしない。
痛みが強い日は予定をずらす。

② 1時間以上座らない(必ず姿勢を変える)

座り続けると痛みが悪化するため、
こまめに立つ・歩く・横になる。

③ 午後の“沈む時間”を前提にスケジュールを組む

痛みが増す時間帯は避ける。
作業は午前〜昼に集中させる。
1日4時間以上働かない。(これが作業できる限界)

④ できる日の“できる量”だけ積み上げる

痛みの波に逆らわない。
無理をした翌日寝込むくらいなら、少しずつ。

⑤ 痛みが強くなる季節・気圧を理解し、早めに調整する

「冬は悪化しやすい」「雨の日は集中が落ちる」など、
体の癖を把握してスケジュールに反映させる。

どれも小さな工夫ですが、
この積み重ねが “働き続ける土台” になっています。


痛みがあるから働けないのではなく、痛みがあるからこそ選ぶ働き方がある

痛みがある体で働くことは、
我慢や気合いでどうにかなるものではありません。

必要なのは、
「自分の体が持つリズムを理解し、働き方のほうを調整すること」
でした。

この選択は、
不安もあったし、勇気もいった。

でも今は、
痛みと働くことの両方を受け入れた“自分なりの働き方”がようやく見えてきた
と感じています。

今もまだ模索中ですが少しづつ前に進めればいい。

完璧ではない。
痛みは今でも続く。

それでも、
働くことを諦めたわけではなく、
「続けるために形を変えた」だけ。

痛みがある体で働くということは、
そうやって “生き方そのものを調整しながら前に進むこと”
なのだと思います。

制度に守られる人もいます。
けれど、すべての人がその枠に収まるわけではありません。

私自身、制度だけでは支えきれない現実に直面しました。
だからこそ、
働き方や生き方を、少しずつ自分の体に合わせて変えていくしかなかった。

それが正解かどうかは、今も分かりません。
ただ、変えなければ続けられなかった、
というのが正直なところです。


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この記事を書いた人

会計事務所、事業会社で税務・経理の仕事に従事していました。
40代で脊髄腫瘍になり、手術・リハビリをしつつ、現在はフリーランスで仕事をしています。