【実体験】手術・入院で190万円かかった私を救った「高額療養費制度」とは?

大きな病気で手術や入院が必要になったとき、

「医療費はいくらかかるのだろう」

と不安になる人は多いと思います。

私も2024年、脊髄腫瘍の手術を受け、約3週間入院しました。

手術は約7時間。

あとから医療費の明細を確認すると、もし公的医療保険による給付がなければ、医療費の総額は約180〜190万円にもなるものでした。

しかし、実際に退院時に支払った金額は約18万円でした。

大きかったのが、高額療養費制度です。

この記事では、実際に手術・入院を経験した私が、

  • 高額療養費制度とはどんな制度なのか
  • 190万円近い医療費が実際にはどうなったのか
  • 何が高額療養費の対象にならないのか
  • 入院前に確認しておきたいこと
  • 実際に利用して初めて分かったこと

を、私自身の経験を交えて紹介します。

※高額療養費制度は2026年8月に見直されています。本記事は2026年9月時点の制度をもとにしています。実際に利用する際は、ご自身が加入している健康保険や厚生労働省の最新情報をご確認ください。

目次

手術で約190万円。実際に支払ったのは約18万円だった

私は2024年に脊髄の手術を受け、約3週間入院しました。

手術時間は約7時間。

かなり大がかりな手術でした。

退院時に渡された請求書で、私が実際に支払った金額は約18万円でした。

この中には、高額療養費の対象となる医療費だけではなく、食事代や差額ベッド代なども含まれています。

事前におおよその支払額を確認していたため、18万円という金額自体は想定していた範囲でした。

しかし、明細を見て驚きました。

医療費そのものは約180〜190万円規模になっていたからです。

もちろん、通常でも公的医療保険によって自己負担は原則1〜3割になります。

それでも、大きな手術や長期入院では自己負担額が高額になることがあります。

そこでさらに家計の負担を抑えてくれるのが、高額療養費制度です。

私はこのとき初めて、

「大きな病気になったとき、公的医療保険がどれほど生活を支えてくれるのか」

を実感しました。


高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、1か月に医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が一定の上限額を超えた場合、その超過分が支給される制度です。

上限額は一律ではなく、年齢や所得によって異なります。

たとえば2026年8月以降の制度では、70歳未満・年収約370万円〜約510万円の場合、医療費が100万円かかったケースで自己負担は約9.3万円まで抑えられる例が厚生労働省から示されています。

つまり、

高額な治療を受けたら、3割負担をそのまま全部負担し続ける

という仕組みではありません。

一定額を超えた負担を抑える仕組みが用意されています。

2026年8月から制度が変わっています

私が手術を受けた2024年当時と、現在の制度は同じではありません。

2026年8月から高額療養費制度が見直され、月額上限の一部変更に加え、長期療養者への配慮として年間上限が新設されました。

そのため、これから高額療養費制度を利用する人は、古い情報だけで判断せず、現在の所得区分と上限額を確認することが大切です。

▶ 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」


実際の支払いはどうなる?

高額療養費制度には、大きく分けて、

いったん窓口で支払い、あとから払い戻しを受ける方法

と、

最初から窓口での支払いを自己負担限度額までにする方法

があります。

私の場合は後者でした。

そのため、退院時に高額な自己負担分をいったん全額支払い、後日還付を待つという流れにはなりませんでした。

現在は、さらに利用しやすくなっています。

マイナ保険証なら限度額適用認定証がなくても利用できる

以前は、事前に「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示する方法が一般的でした。

現在は、対応する医療機関・薬局でマイナ保険証を利用すれば、原則として限度額適用認定証を別途申請しなくても、公的医療保険が適用される診療について窓口で限度額を超える支払いを避けることができます。

これは、大きな手術を控えている人にとってかなり重要です。

高額な医療費を一時的に立て替える必要がなくなるからです。

マイナ保険証を利用しない場合などは、加入している健康保険へ限度額適用認定証について確認しておくと安心です。


高額療養費制度でも「全部」は安くならない

ここは、実際に入院する前に知っておいた方がいいところです。

高額療養費制度があるからといって、

入院にかかったすべてのお金に上限が設定されるわけではありません。

たとえば、

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 保険適用外の治療など

は、原則として高額療養費の自己負担限度額には含まれません。厚生労働省も、入院時の食費や差額ベッド代などは対象外と案内しています。

私が退院時に約18万円支払ったのも、こうした費用が含まれていたためです。

ここは、

「自己負担限度額=入院時に支払う総額」ではない

と考えておいた方が分かりやすいと思います。


「月をまたぐ入院」にも注意したい

もう一つ知っておきたいのが、高額療養費制度は基本的に1日から末日までの1か月単位で計算されることです。

たとえば、

8月5日〜8月25日まで入院した場合と、

8月25日〜9月15日まで入院した場合では、

高額療養費の計算上、同じようには扱われない可能性があります。

後者では8月と9月、それぞれについて自己負担額が計算されるからです。

私自身、制度を調べるまで「1回の入院単位で計算される」と思いそうになりました。

ただし、医療費を抑えるために治療や退院時期を自己判断で変更するものではありません。

治療上必要なスケジュールを優先したうえで、「月単位で計算される制度だ」と知っておくことが大切だと思います。


長期間治療する人には「多数回該当」がある

1回の手術だけでなく、がん治療などで毎月高額な医療費が続く人もいます。

高額療養費制度には、こうした人の負担を抑える「多数回該当」という仕組みがあります。

直近12か月の間に高額療養費の支給対象となった月が一定回数ある場合、4回目から自己負担限度額がさらに下がります。

さらに2026年8月からは、長期療養者への負担軽減策として年間上限も導入されました。

高額な治療が何か月も続く場合には、単月の上限額だけでなく、

多数回該当や年間上限まで確認しておく

ことが重要になっています。


入院前に私なら確認しておくこと

実際に入院・手術を経験した今なら、大きな治療が決まった時点で、少なくとも次のことを確認します。

① 自分の自己負担限度額はいくらか

所得によって上限額が違うので、まず自分がどの区分になるのか確認します。

② マイナ保険証で限度額情報を利用できるか

利用できれば、高額な医療費をいったん立て替える負担を抑えられます。

③ 高額療養費の対象外になる費用はいくらか

特に差額ベッド代や食事代です。

「限度額が○万円だから、それだけ準備すれば大丈夫」とは限りません。

④ 入院が月をまたぐか

高額療養費は月単位なので、仕組みだけでも知っておいた方が安心です。

⑤ 民間の医療保険からいくら受け取れるか

加入している場合は、入院給付金や手術給付金などの条件も確認します。

私は実際に保険金を請求してみて、加入しているだけでは分からなかったことがいくつもありました。


高額療養費と医療費控除は別の制度

ここも混同しやすいところです。

高額療養費制度と医療費控除は別の制度です。

高額療養費は、公的医療保険によって高額な自己負担を軽減する制度。

一方、医療費控除は、一定額以上の医療費を負担した場合に所得控除を受けられる税制上の制度です。

そのため、高額療養費を利用したから医療費控除が使えなくなる、という単純な関係ではありません。

ただし、高額療養費などで補填された金額については、医療費控除を計算するときに調整が必要です。

詳しくはこちらの記事でまとめています。

▶ 医療費控除と高額療養費の違い|両方申請してもいいの?知らないと損する医療費の仕組み


制度を使って初めて分かったこと

私はそれまで、高額療養費制度を利用したことがありませんでした。

会社員だった頃は、毎月給与から引かれる社会保険料を見て、

「かなり引かれるな」

と思うこともありました。

でも、自分が病気になって大きな手術を受けたことで、その見え方は変わりました。

もし大きな医療費をすべて自分で負担しなければならなかったら、治療そのものだけではなく、その後の生活にも大きな影響が出ていたと思います。

高額療養費制度は、健康なときにはなかなか意識しません。

でも、病気になったときにはじめて、その存在の大きさが分かりました。


それでも、制度だけでは不安はなくならなかった

一方で、実際に病気を経験すると、

医療費だけを考えればいいわけではありませんでした。

治療中に仕事ができなくなれば、収入が減ることがあります。

退院しても、すぐ以前と同じように働けるとは限りません。

私自身も、手術を終えれば元の生活に戻れると思っていました。

しかし実際には、病気をきっかけに、

  • 働き方
  • お金
  • 家族との時間
  • 人生の優先順位

まで見直すことになりました。

高額療養費制度は、医療費という大きな負担を軽くしてくれました。

ただ、病気になったときに必要なのは、

「治療費をどう払うか」だけではなく、「その後の生活をどう支えるか」まで考えておくこと

なのだと思います。

▶ 病気で人生はどう変わるのか|手術・リハビリ後に「働き方と生き方」を見直した記録


まとめ|高額療養費制度を知っているだけでも安心は変わる

私の場合、脊髄腫瘍の手術と約3週間の入院で、医療費は約180〜190万円規模になりました。

それでも、高額療養費制度などの公的医療保険の仕組みによって、実際に退院時に支払った金額は約18万円でした。

今回の経験から、特に知っておいてほしいのは、

  • 高額な医療費には自己負担の上限がある
  • 上限額は年齢や所得によって違う
  • マイナ保険証などを利用すれば窓口負担を抑えられる
  • 差額ベッド代や食事代などは対象外
  • 高額療養費は基本的に月単位で計算される
  • 長期治療には多数回該当や年間上限がある

ということです。

大きな病気は、いつ起こるか分かりません。

私自身も、健康なときにここまで制度について詳しく調べることはありませんでした。

でも、一度知っておくだけでも、

「もし高額な手術が必要になったら、何百万円もそのまま支払うのだろうか」

という不安はかなり変わります。

制度を知ることも、病気に備える一つの方法だと思います。


入院費だけではなく、「保険の備え」についても考えました

高額療養費制度を使っても、すべての支出がなくなるわけではありません。

そして実際に病気になると、医療費以外にも収入減少やその後の生活など、さまざまなお金の問題が出てきます。

私自身、民間の医療保険を実際に請求してみて、加入しているときには気づかなかったことがありました。

次に読むなら

▶ 【体験談】医療保険の保険金請求で学んだこと|申請の注意点とがん保険の落とし穴

高額療養費という「公的な備え」の次に、民間保険が実際にどこまで役立ったのかをまとめています。


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この記事を書いた人

会計事務所・事業会社で約20年、税務・経理の仕事に従事。
40代で脊髄腫瘍を経験し、手術とリハビリを経て現在はフリーランスとして働いています。

このブログでは
・病気と働き方
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・人生の再設計
について実体験をもとに発信しています。

主なテーマ
・病気と回復
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