「働く時間を減らしたい。でも、収入が減ったら生活できないかもしれない」
「体力的にフルタイム勤務が難しい。何時間働けば生活できるのだろう」
そんな不安を感じることはないでしょうか。
働く時間を減らせば、一般的には収入も減ります。
そのため、生活費が心配で、今の働き方を変えられない人もいると思います。
一方で、働く時間を増やしたくても、体力や健康上の理由から難しい人もいます。
私も、その一人です。
病気を経験してから、以前のように長時間働くことが難しくなりました。
正確には、働く時間を減らしたかったのではなく、減らさざるを得なかったのです。
そこで考えるようになったのが、
「今の自分が働ける時間で、生活を成立させるにはどうすればいいのか」
ということです。
そのためには、働ける時間と必要な生活費を数字で整理する必要があります。
この記事では、
- 月に何時間働けるのか
- 毎月いくら必要なのか
- その生活費を賄うには、1時間あたりいくら必要なのか
- 現実的な仕事の単価で、どれくらい収入を得られるのか
- 収入が不足する場合、どう対応するのか
という順番で考えていきます。
難しい税金の計算や、細かな家計管理が目的ではありません。
働ける時間を出発点にして、無理なく生活を続けるための判断材料を整理する方法です。
働く時間を減らしたかったのではなく、減らさざるを得なかった
以前の私は、長時間働くことを特別なことだと思っていませんでした。
会社員として働いていた頃は、残業も多く、忙しい時期には仕事を優先する生活を続けていました。
しかし、病気を経験してから状況が変わりました。
在宅で経理業務やパソコン作業をしていると、指先や腕、肩から背中、胸にかけて痛みが強くなることがあります。
特に長時間作業を続けたときは、翌日まで痛みが残り、思うように仕事ができなくなることもありました。
最初から「1日4時間まで」と決めていたわけではありません。
実際に仕事を続ける中で、4時間程度が一つの目安になってきたのです。
もちろん、毎日4時間なら必ず問題ないということではありません。
体調によって働ける時間は変わります。
それでも、以前と同じように8時間働くことを前提に仕事を考えるのは、現実的ではなくなりました。
そこで、働き方を考える順番を変えました。
以前は、
必要な収入を得るために、どれだけ働くか。
今は、
働ける時間の中で、どうやって必要な収入を得るか。
この違いは大きいと感じています。
ステップ1|まず、月に何時間働けるのかを計算する
最初に考えたいのは、月に何時間働けるかということです。
ここでは、一般的なフルタイム勤務の時間を基準にする必要はありません。
自分の体力、健康状態、家庭の事情などを踏まえて考えます。
例えば、1日4時間、月20日働けるとします。
4時間 × 20日 = 月80時間
この場合、月80時間が一つの目安になります。
ただし、ここで考えたいことがあります。
それは、最大で働ける時間と、無理なく続けられる時間は同じとは限らないということです。
最大時間の70%でも計算してみる
私は、最大時間だけでなく、少し余裕を持たせた時間でも計算することが大切だと考えています。
例えば、月80時間の70%で計算すると、
80時間 × 70% = 月56時間
となります。
| 考え方 | 月間労働時間 |
|---|---|
| 最大時間で計算 | 80時間 |
| 70%で計算 | 56時間 |
70%という数字に、医学的な根拠があるわけではありません。
また、すべての人が70%に減らす必要もありません。
あくまで、体調不良や予定外の出来事があっても対応できるように、余裕を持たせて考えるための例です。
体調が安定している人なら、80時間に近い時間で計算してもよいでしょう。
反対に、体調の変動が大きい人は、さらに余裕が必要かもしれません。
大切なのは、自分が継続できる時間を基準にすることです。
私自身、無理をして長く働いた結果、翌日の作業に影響が出た経験があります。
そのため、1日だけ何時間働けるかよりも、翌日も同じように働けるかを重視するようになりました。
ステップ2|毎月必要な生活費を把握する
次に、毎月どれくらいのお金が必要なのかを確認します。
ここでは、理想の生活費ではなく、現在の生活を維持するために必要な金額を考えます。
例えば、次のような支出があります。
- 住居費
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 保険料
- 教育費
- 日用品
- その他の生活に必要な支出
毎月の支出だけでなく、年間で発生する費用も月額に換算しておくと、より現実的になります。
例えば、年間12万円の支出があれば、月1万円として考えます。
今回は、計算を分かりやすくするために、毎月必要な生活費を20万円と仮定します。
この20万円は、あくまで説明用の数字です。
実際には、家族構成や住んでいる地域、住居費などによって必要な金額は大きく変わります。
また、今の生活費がそのまま必要な金額とは限りません。
固定費を見直すことで、必要な収入そのものを下げられる場合もあります。
生活費をどこまで下げられるかについては、別の記事で詳しく整理しています。
▶ 生活費はいくらまで下げられる?働けなくなったときの「最低生活費」の計算方法 (近日公開予定)
ステップ3|生活費から必要な時給を逆算する
ここまでで、2つの数字が分かりました。
- 月に働ける時間:80時間、または余裕を持たせた56時間
- 毎月必要な生活費:20万円
この2つを使って、生活費を賄うために1時間あたりいくら必要なのかを計算します。
計算式は簡単です。
必要な生活費 ÷ 月間労働時間 = 労働時間1時間あたりに必要な生活費
これは、仕事で実際に受け取る時給ではなく、生活費を賄うための最初の目安です。
月80時間働く場合
200,000円 ÷ 80時間 = 2,500円
月56時間働く場合
200,000円 ÷ 56時間 = 約3,572円
表にすると、次のようになります。
| 項目 | 最大時間で計算 | 70%で計算 |
|---|---|---|
| 毎月必要な生活費 | 200,000円 | 200,000円 |
| 月間労働時間 | 80時間 | 56時間 |
| 1時間あたりに必要な金額 | 2,500円 | 約3,572円 |
ここで重要なのは、働ける時間が短くなるほど、1時間あたりに必要な金額が高くなるということです。
同じ20万円の生活費でも、80時間働ける人と56時間しか働けない人では、必要な時間単価が変わります。
ただし、この数字は、生活費を労働時間で割った最初の目安です。
実際の仕事で必要になる額面時給とは異なります。
税金や社会保険料、仕事に必要な経費などを考慮すれば、必要な額面収入はさらに高くなる場合があります。
これらの負担は、給与所得か事業所得か、加入している社会保険や扶養の状況などによって異なるため、必要に応じて別途確認します。
ここでは、まず生活費と労働時間の関係を把握することを優先します。
ステップ4|現実的に得られる仕事の単価で計算する
ここが、今回の計算で特に重要な部分です。
生活費から逆算して、1時間あたり約3,572円が必要だと分かったとします。
しかし、だからといって、その金額の仕事をすぐに見つけられるわけではありません。
実際に得られる仕事の単価は、職種や経験、雇用形態、契約内容などによって変わります。
例えば、現実的に受けられる仕事の額面時給が2,000円だったとします。
その場合、月間収入は次のようになります。
| 月間労働時間 | 額面時給 | 月間額面収入 |
|---|---|---|
| 80時間 | 2,000円 | 160,000円 |
| 56時間 | 2,000円 | 112,000円 |
※すべての労働時間に対して時給が支払われると仮定した例です。
生活費から逆算した目標金額と、現実に得られる収入には差があります。
必要な時給と、実際に得られる時給は別のものです。
この違いを把握することが、働き方を考えるうえで重要になります。
業務委託では、予定していた時間より長くかかることがある
ここで、私自身の経験を紹介します。
私は、フリーランスとして経理業務を請け負ってきました。
経理の仕事では、作業を始める前に、おおよその所要時間を見積もることがあります。
しかし、実際に仕事を始めると、想定以上に時間がかかることもありました。
例えば、4時間で終わると考えていた仕事が、実際には6時間かかるケースです。
原因はさまざまです。
必要な資料が不足している。
資料が整理されていない。
記帳内容に不明な点があり、確認が必要になる。
修正や追加のやり取りが発生する。
こうしたことが重なると、予定していた時間を超えてしまいます。
仮に、報酬が20,000円だった場合、
予定していた4時間なら、
20,000円 ÷ 4時間 = 時給5,000円
ですが、実際に6時間かかると、
20,000円 ÷ 6時間 = 約3,333円
になります。
同じ報酬でも、実際に必要な時間が増えれば、実質的な時給は下がります。
しかも、私の場合は単に時給が下がるだけではありません。
作業時間が長くなるほど身体への負担も大きくなり、翌日の仕事に影響することがあります。
また、疲労が強くなれば、確認作業や判断にも影響しかねません。
そのため、仕事を受けるときには、提示された報酬だけでなく、実際にどれくらいの時間が必要になるのかを考えるようになりました。
報酬が発生しない時間にも注意する
特に業務委託やフリーランスの場合、顧客との連絡、資料確認、請求書作成など、報酬に直接反映されない時間が発生することがあります。
月56時間を仕事に使えても、そのすべてが報酬対象になるとは限りません。
その場合は、実際に報酬が発生する時間を使って収入を見積もる必要があります。
一方、時間給の仕事などでは、契約上の労働時間に応じて給与が支払われるのが基本です。
そのため、すべての人が一律に労働時間を減らして計算する必要はありません。
自分が検討している仕事の契約内容に合わせて考えることが大切です。
ステップ5|税金・社会保険料なども別途考慮する
ここまでの計算では、現実的な仕事の単価から、月間の額面収入を求めました。
ただし、この金額をすべて生活費に使えるとは限りません。
実際には、所得税や住民税、健康保険料、年金保険料などを考慮する必要があります。
また、フリーランスの場合には、仕事に必要な経費も発生します。
ここで注意したいのは、これらの負担を一律20%や25%などとして計算しないことです。
給与所得と事業所得では所得の計算方法が異なります。
また、所得控除や社会保険の加入状況、扶養、保険料の免除・減免などによっても、実際の負担は変わります。
そのため、この記事では一律の控除率を使いません。
正確な金額が必要な場合には、自分の状況に応じて別途確認することにします。
大切なのは、額面収入だけで生活できると判断しないことです。
なお、生活費の中に税金や社会保険料を既に含めている場合は、二重に計算しないように注意してください。
ステップ6|生活費と現実の収入との差額を確認する
ここまでの数字を整理してみます。
今回は、次の条件で考えます。
- 毎月必要な生活費:200,000円
- 月に働ける最大時間:80時間
- 余裕を持たせた場合:56時間
- 現実的な額面時給:2,000円
この場合、収入と生活費の差は次のようになります。
| 項目 | 80時間の場合 | 56時間の場合 |
|---|---|---|
| 月間労働時間 | 80時間 | 56時間 |
| 額面時給 | 2,000円 | 2,000円 |
| 月間額面収入 | 160,000円 | 112,000円 |
| 必要生活費 | 200,000円 | 200,000円 |
| 額面収入と生活費の差額 | 40,000円 | 88,000円 |
※労働時間のすべてに報酬が発生する場合の概算です。税金・社会保険料・必要経費などを調整する前の数字であり、最終的な家計の不足額ではありません。
月56時間の場合、額面収入と生活費の差は88,000円です。
ただし、これは実際の家計の不足額ではありません。税金・社会保険料や必要経費などを考慮したうえで、最終的にどれくらい不足するかを確認する必要があります。
この数字を見て、
「それなら、もっと働かなければいけないのではないか」
と感じる人もいるかもしれません。
しかし、働ける時間に制約がある場合、労働時間を増やすことだけで解決しようとすると、かえって仕事を続けられなくなる可能性があります。
私自身、無理に作業時間を増やして、翌日まで痛みが残った経験があります。
そのため、差額が分かったときには、働く時間以外の方法も考えるようにしています。
ステップ7|不足額をどう補うか考える
生活費と収入の差が分かったら、次に考えるのは、その差をどう埋めるかということです。
方法は、働く時間を増やすことだけではありません。
① 固定費を見直す
私がまず考えるのは、毎月必要な支出を減らせないかということです。
収入を増やすには、仕事を受けたり、作業時間を確保したりする必要があります。
しかし、固定費を減らすことができれば、その効果は毎月続きます。
例えば、生活費を月20万円から17万円に減らせたとします。
すると、必要な金額は3万円下がります。
月56時間働く場合、
200,000円 ÷ 56時間 = 約3,572円
だったものが、
170,000円 ÷ 56時間 = 約3,036円
になります。
生活費を3万円減らすだけで、1時間あたりに必要な金額が約536円下がる計算です。
これは、働ける時間が限られている人にとって、大きな違いだと思います。
また、収入を増やす場合には税金や社会保険料などの負担が変わる可能性がありますが、支出の削減は、その金額だけ家計の負担を直接減らせます。
もちろん、何でも削ればよいわけではありません。
家族の生活や健康に必要な支出まで無理に減らす必要はないと思います。
私自身も、生活を見直す中で、負担の大きかった車関係の費用を削減しました。
必要なときにはカーシェアリングなどを利用する方法に変えました。
大切なのは、自分にとって優先順位の低い支出を見直すことです。
② 働く時間だけに依存しない収入を考える
次に考えたいのは、労働時間と収入が必ずしも比例しない仕組みを持てないかということです。
例えば、配当収入や、過去に作ったコンテンツからの収入などが考えられます。
ただし、これらは誰でもすぐに得られる収入ではありません。
投資には元本割れのリスクがありますし、ブログなどのコンテンツ収益も、安定するまでに時間がかかります。
私自身、ブログを続けていますが、短期間で生活費を賄えるようになるとは考えていません。
それでも、働ける時間に制約があるからこそ、長い時間をかけて積み上げられるものを持つ意味はあると感じています。
③ 利用できる公的制度を確認する
健康上の理由などで働く時間が制限される場合には、利用できる公的制度がないか確認することも大切です。
例えば、状況によっては医療費の負担軽減や、社会保険料の減免・免除などが利用できる場合があります。
ただし、対象となる制度や条件は人によって異なります。
この記事では制度の詳細には踏み込みませんが、働く時間を増やす前に、利用できる制度がないか確認することも一つの方法です。
④ 貯蓄を使って時間を確保する
貯蓄がある場合には、一定期間、収入と生活費の差を補うという考え方もあります。
例えば、新しい仕事を始めたり、収入源を育てたりするには時間が必要です。
その期間の生活費を、貯蓄で補う方法です。
ただし、貯蓄は使えば減っていきます。
継続的な収入とは違うため、何か月程度なら補えるのかを把握しておく必要があります。
私自身は、生活費を単なる消費としてだけでなく、新しい働き方を作るための時間を確保する支出として考えるようになりました。
もちろん、無計画に貯蓄を減らしてよいということではありません。
どれくらいの期間なら続けられるのかを確認しながら判断することが重要です。
必要な労働時間を計算する目的は、限界まで働くことではない
ここまで、生活費と労働時間を数字で整理してきました。
ただ、私が伝えたいのは、必要な金額を稼ぐために限界まで働こうということではありません。
むしろ逆です。
無理なく働ける範囲を把握し、その中で生活を成立させる方法を考えることが目的です。
例えば、月80時間働けるとしても、それが毎月続けられるとは限りません。
体調や家庭の事情によって、予定通りに働けない月もあります。
だからこそ、最大時間だけでなく、余裕を持たせた時間でも計算しておく意味があります。
ただし、余裕を持たせる割合は人によって異なります。
70%という数字にこだわる必要はありません。
自分にとって、どの程度の働き方なら続けられるのか。
その判断が、計算結果以上に大切だと思います。
働く時間を減らして生まれた時間を、何に使うのか
働く時間を減らすというと、収入が減ることばかりに目が向きがちです。
もちろん、生活を維持するためのお金は必要です。
一方で、働く時間を見直すことは、限られた時間を何に使うのか考えるきっかけにもなります。
身体を休める時間。
家族と過ごす時間。
新しいことを学ぶ時間。
旅行に出かけたり、これまで知らなかった世界を知ったりする時間。
私自身、以前は将来のために今の時間を使うことが当たり前だと思っていました。
仕事を頑張って、収入を得て、老後に自由な時間を持つ。
そんな考え方です。
しかし、病気を経験してから、その考え方が変わりました。
将来、時間ができたとしても、そのときに今と同じように動けるとは限りません。
年齢を重ねれば、健康状態や家族の事情も変わります。
だからこそ、将来のために今を犠牲にし続けるのではなく、今の時間も大切にしたいと考えるようになりました。
もちろん、働く時間を減らしたからといって、その分を自由に使えるとは限りません。
私自身、身体を休めるために必要な時間もあります。
それでも、限られた時間の中で、何を優先するのかは考えられます。
働く時間を見直すことは、単に仕事を減らすことではありません。
生活を守りながら、自分にとって大切な時間をどう確保するかを考えることでもあると思います。
まとめ|働ける時間から生活を逆算する
働く時間を減らすとき、収入が減ることへの不安は簡単にはなくなりません。
しかし、漠然と不安を感じているだけでは、どれくらいの収入が必要なのか、何を変えればよいのかが見えてきません。
まずは、
- 月に何時間働けるかを確認する
- 毎月必要な生活費を把握する
- 生活費を労働時間で割って、1時間あたりの目標金額を計算する
- 現実的な仕事の単価と比較する
- 収入と生活費の差を確認する
- 不足額への対応を考える
この順番で整理してみると、働き方を考えるための材料が見えてきます。
すべてを一度に解決する必要はありません。
計算してみて、今の働き方では生活費を賄うのが難しいと分かることもあるでしょう。
それでも、数字にすることで、どこを見直せばよいのかを考えられます。
私自身、働ける時間が限られたことで、収入だけを基準に仕事を選ぶことはなくなりました。
大切なのは、どれだけ長く働けるかではなく、自分が続けられる働き方で生活を成立させること。
そのための第一歩として、生活費と労働時間を一度数字にしてみてはいかがでしょうか。
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