Pythonを勉強したと言うと、
「AIをやりたかったんですか?」
と思われるかもしれません。
でも、私がPythonを学び始めようと思った頃は、今ほど世の中で生成AIが話題になっていませんでした。
ChatGPTもありませんでした。
私自身も、最初からAIの仕事をしようと思ってPythonを始めたわけではありません。
もっと単純でした。
「Pythonって、いろいろなことができるらしい。」
それくらいの感覚だったと思います。
当時の私は経理の仕事をしながら、業務改善にも興味を持っていました。
ExcelのVBAを使ったり、システムを使って仕事を効率化したりすることも好きでした。
RPAにも興味を持っていました。
だからPythonについても、最初はVBAの延長線くらいに考えていました。
仕事を自動化したり、ちょっとしたアプリを作ったりできる。
覚えておけば、仕事の幅を広げられるかもしれない。
そこから私のPythonの勉強は始まりました。
データサイエンスという分野を知った
Pythonについて調べているうちに、私は「データサイエンス」という分野を知りました。
そこで初めて、
Pythonはデータ分析にも使われている
ということを知りました。
これは面白そうだと思いました。
私はそれまで会計や経理の仕事を長くしてきました。
経理では数字を扱います。
そこにデータ分析の知識を加えることができれば、今までの経験を生かしながら仕事の幅を広げられるのではないか。
そう考えました。
そこで、データ分析について本格的に勉強することにしました。
Pythonだけではありません。
R言語も勉強しました。
統計を理解するには数学も必要だったので、高校数学まで戻って勉強し直しました。
ランダムフォレスト。
決定木。
重回帰分析。
ポワソン回帰。
相関分析。
グラフによる可視化。
機械学習。
一通り触りました。
当時の私としては、かなり勉強したと思います。
勉強を始めた頃は、Pythonを業務改善やデータ分析に使えればいいと思っていました。
でも、機械学習まで学ぶようになると、「このまま勉強していけば、
いつかAIに関わる仕事にもつながるのではないか」と考えるようになりました。
ただ、勉強すればするほど、逆に分かってきたことがありました。
教科書の問題が解けることと、仕事としてデータ分析ができることは、まったく別だということです。
教科書のデータは、きれいにできている
勉強で使うデータは、基本的に「分析するためのデータ」です。
このデータなら、この分析手法を使う。
この変数を使ってモデルを作る。
結果を見て評価する。
教材として理解しやすいように作られています。
でも、実際の仕事はそんなに親切ではありません。
そもそも、
どの分析手法を使えばいいのか。
そこから考えなければなりません。
どの変数を採用するのか。
逆に、どの変数を外すのか。
出てきた数字に本当に意味があるのか。
分析結果を仕事の中でどう使うのか。
こうした判断は、Pythonの文法を覚えただけではできません。
統計の教科書を読んだからといって、すぐできるものでもありません。
実際のデータを何度も扱って、失敗して、経験を積んでいく必要があります。
私がやっていたのは、あくまで教科書通りの分かりやすいデータを使った分析でした。
ここには、思っていた以上に大きな差がありました。
私はデータサイエンティストにはなれなかった
基本的なことは、それなりに勉強したと思います。
だから、まったく分からないわけではありません。
でも、
知っていることと、仕事としてできることは違います。
これは実際に勉強してみて強く感じました。
データサイエンティストとして仕事をするのであれば、当然それなりのレベルを求められます。
若い人でも簡単になれる仕事ではありません。
一人前になるまでには、かなりの経験が必要です。
私自身、未経験の40代後半から経験を積んでいくことを考えると、
転職では若い人以上のものを求められるだろうと感じていました。
だから私は、最初から本気で「データサイエンティストになれる」と思っていたわけではありません。
そこまで行かなくてもいい。
会計や経理にデータ分析を加えて、
「ある程度、データを扱える経理」
くらいになれれば、自分の仕事の幅は広がるのではないか。
そんな感覚でした。
もちろん、なれるのであればデータサイエンティストもやってみたかったです。
でも、若い人たちと同じ土俵に立って一から経験を積んでいくには、身につけなければならないことがあまりにも多かった。
これは、やってみたからこそ分かったことでした。
それでもPythonを選んだのは、少し先を見ていたから
当時、私は関西圏で仕事を探していました。
求人を見ると、Pythonの需要はそれほど多くありませんでした。
むしろJavaなどの方が、仕事としては圧倒的に多く、Pythonはあまり求められていませんでした。
それでも私はPythonを選びました。
今は少なくても、これからデータ活用が広がれば、Pythonを使う場面も増えるのではないか。
そんなふうに考えていたからです。
将来使われそうなものを、少し先に勉強しておく。
当時の私は、そんな考え方をしていました。
ところが、その後、私が想像していなかった変化が起きました。
生成AIです。
コードを書けることの価値が、思っていたより早く変わった
今では生成AIに頼めば、かなりのPythonコードを書いてくれます。
もちろん、出てきたコードが正しいか判断するための知識は必要です。
何をしているコードなのか、ある程度理解できた方がいい。
だからPythonを勉強したことが無駄になったとは思っていません。
ただ、
「Pythonのコードを書けること」そのものの価値は、私が勉強していた頃とは少し変わった
と感じています。
私はもともとプログラマーを目指していたわけではないので、それ自体は大きな問題ではありません。
むしろ今は、以前よりはっきりしています。
大切なのは、
Pythonを書けるかどうかではなく、Pythonを使って何をするか。
ということです。
今でもPythonは使っている
会社員ではなくなった今でも、私はPythonを使っています。
今でも、面倒なファイル処理を自動化する小さなツールを作ったり、
企業データを取得・整理して、自分なりに分析したりしています。
データサイエンティストにはなりませんでしたが、あのとき学んだPythonは、別の形で今も使っています。
仕事や生活の中で、
「これ、もう少し楽にできないかな」
と思ったときに使うこともあります。
面白いのは、結局ここがPythonを学び始めた頃の自分とつながっていることです。
最初は、VBAの延長線でした。
業務を楽にしたい。
面倒な作業を自動化したい。
便利なものを作りたい。
途中でデータサイエンスを知り、統計や機械学習を勉強し、もっと専門的な世界に入っていきました。
でも、一周回って今考えているのは、
「これを使って、何を便利にできるのか」
という、とても単純なことです。
学んだことより、使い方の方が重要になった
以前の私は、新しいスキルを身につければ、それだけ仕事の選択肢が増えると思っていました。
それは間違いではないと思います。
ただ、今はそれだけでは足りないとも思っています。
Pythonを知っている。
統計を知っている。
機械学習を知っている。
それだけでは、実際の仕事にはなかなかつながりません。
大切なのは、その知識を使って、
何を作るのか。
何を分析するのか。
どんな問題を解決するのか。
そこまでつながって、初めて学んだことが生きてくるのだと思います。
生成AIがコードを書いてくれるようになった今は、なおさらそう感じます。
以前は「自分でコードを書けること」に大きな価値を感じていました。
今は、「何を作らせるのか」「出てきたものをどう直すのか」「どこに使うのか」という力の方が、私には重要になりました。
データサイエンティストにはなれませんでした。
Pythonだけで仕事をしているわけでもありません。
それでも、あのとき勉強したことを後悔してはいません。
今でもPythonは使っています。
ただ、使う目的が変わりました。
以前は、Pythonを身につければ、新しい仕事に近づけると思っていました。
今は、自分がやりたいことや解決したいことが先にあって、Pythonはそのための道具の一つだと考えています。
Pythonを学べばAIの仕事ができる。
そんな単純な話ではありませんでした。
でも、実際に学んだからこそ、技術との付き合い方は変わりました。
「何になるために使うか」ではなく、「何をするために使うか」。
今は、そう考えています。
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