仕事をしていると、うまくいかないことがあったとき、
「もっと頑張らないといけない」
と考えてしまうことがあります。
処理が間に合わなければ残業する。
ミスが起きれば、もっと注意する。
仕事が増えれば、自分の処理速度を上げる。
私自身も会社員として長く働いてきたので、そうやって仕事を乗り切ってきたことは何度もありました。
でも、会計や税務、経理、そして業務改善やシステム導入に関わってきた中で、私は少し違うことを考えるようになりました。
頑張り方を考える前に、そもそもの前提を疑った方がいいのではないか。
今振り返ると、この考え方は、現在の私の働き方にもつながっています。
システム化すれば、効率化できるとは限らない
以前勤めていた会社では、システム導入や業務フローの改善に関わることがありました。
そこで何度も感じたのが、
現場にあるものを、そのままシステムに載せればいいわけではない
ということでした。
たとえば、会計や経理、税務上、そこまで細かく金額を配分する必要があるのだろうかと思うような処理でも、
「今までそうしてきたから」
という理由で、そのルールをそのままシステムに入れようとすることがあります。
しかも、その処理方法が商品によって違う。
すると、せっかくシステム化しても、途中で人の判断が必要になります。
すべて自動化しようとすれば、今度は非常に細かな分岐条件をシステムに組み込まなければなりません。
さらに厄介なのは、そのルールがずっと同じとは限らないことです。
ルールが変われば、システムも改修しなければならない。
システム化によって仕事を簡単にするはずが、現場にある複雑なルールをすべて載せようとした結果、システムそのものが複雑になっていく。
私は、そんな場面を見てきました。
だからシステムを作る前に、
「この処理は本当に必要なのか」
を考える必要があると思うようになりました。
「今までこうだった」は、意外と強い
もちろん、私は自分の考えがすべて正しいとは思っていません。
自分より他の人の意見の方が優れていることも多々あります。
また、会社の仕組みを変えることが簡単ではないことも分かります。
一つの処理を変えることで、どこに影響が出るか分からない。
長年問題なく動いてきたのであれば、あえて触りたくない。
そう考えるのも自然なことだと思います。
それでも私が一番違和感を持っていたのは、
「今までこうしてきたから、これからもこうしなければならない」
という暗黙のルールでした。
誰かが決めた。
前任者がやっていた。
昔からこの方法だった。
それだけで、いつの間にか「変えてはいけないもの」になっていることがあります。
でも、その前提が作られた当時と、今では状況が違うかもしれません。
使っているシステムも違う。
扱っている商品も違う。
働いている人も違う。
それなのに、やり方だけが残っている。
だから私は、効率化とは単純にシステムを入れたり、作業時間を短くしたりすることではないと思っています。
何を残して、何をやめるのかを見極めることも、効率化の一部です。
むしろ、そこを考えないまま自動化すると、非効率な仕組みを高速で動かすだけになってしまうことがあります。
この考え方は、税理士事務所時代から身についたのかもしれない
なぜ自分は、こういうことを考えるようになったのだろう。
振り返ってみると、その原点の一つは税理士事務所で働いていた頃にあるのかもしれません。
当時、他人が作ったものをそのまま継続するのではなく、
まず前提を確認すること
を常に言われていました。
前年がこうなっているから、今年も同じ。
前任者がこの処理をしているから、自分も同じ。
そうではなく、
なぜこの処理をしているのか。
何を根拠にそう判断したのか。
そもそもの前提は合っているのか。
まず自分で確認する。
会計や税務では、前の人がやっていたことをそのまま引き継いでも、その前提が間違っていれば、間違いまで引き継ぐことになります。
だから私は、何かを引き継いだとき、一度自分の中に落とし込んで考えることが習慣になっていったのだと思います。
その後、経理やシステム導入に関わるようになっても、この考え方は残っていました。
「どうやってシステム化するか」を考える前に、
「そもそも、この業務は必要なのか」
と考える。
今思えば、現在の私の考え方は、この頃から少しずつ作られていたのかもしれません。
でも、自分の働き方の前提は疑っていなかった
不思議なのは、仕事では前提を疑っていたのに、自分自身の働き方については、あまり疑っていなかったことです。
会社で働く。
フルタイムで働く。
給与を中心に生活する。
忙しければ、何とか時間を作る。
それを当たり前のものとして受け入れていました。
満足していたからなのか。
今振り返ると、必ずしもそうではなかったように思います。
むしろ、
目の前の業務に翻弄されていて、自分の働き方そのものを考える余裕がなかった。
という方が近いのかもしれません。
仕事の中では、
「なぜ、この処理をしているのか」
と考えていたのに、
「なぜ、自分はこの働き方を続けているのか」
とは、あまり考えていませんでした。
病気になって、初めて自分の前提を疑った
その後、私は病気を経験し、それまでと同じように働くことが難しくなりました。
そこで初めて、自分の働き方についても前提から考えることになりました。
どうすれば以前と同じように働けるのか。
どうすれば8時間働けるのか。
どうすれば会社員に戻れるのか。
最初は、そんなことを考えていたと思います。
でも、途中から問いが変わりました。
そもそも、以前と同じ働き方に戻す必要があるのだろうか。
8時間働くことを前提にしなくてもいいのではないか。
収入は給与一つでなくてもいいのではないか。
一つの仕事ですべてを支えなくてもいいのではないか。
そう考えてみると、選択肢が変わりました。
今まで仕事の中でやってきたことと、実は同じだったのだと思います。
業務の前提を確認する。
必要なものと、必要でないものを分ける。
今の条件に合わせて、仕組みを作り直す。
その対象が、
会社の仕事から、自分の働き方に変わっただけでした。
頑張る前に、前提を疑ってみる
もちろん、今ある仕組みには、それが作られた理由があります。
簡単に変えていいものばかりではありません。
自分では気づいていない影響があることもあります。
だから、何でも変えればいいとは思っていません。
それでも、
「今までこうだったから」
だけを理由に続ける必要もないと思っています。
仕事が大変なら、もっと頑張る。
時間が足りなければ、もっと効率よく動く。
働けなくなったら、元の状態に戻れるよう努力する。
そう考える前に、一度だけ、
「そもそも、この前提は今も必要なのか」
と考えてみる。
すると、自分を変える以外の方法が見えてくることがあります。
私が病気になったあと、自分の働き方を作り直すことができたのも、まったく新しい考え方を身につけたからではないのかもしれません。
税理士事務所で教わり、経理やシステム導入の仕事で繰り返してきた、
まず前提を確認する。
その考え方を、ようやく自分自身にも向けるようになった。
今は、そんなふうに思っています。
🔗 関連記事
