「仕事を辞めたい。」
そう思っても、なかなか決断できない理由の一つがお金ではないでしょうか。
次の仕事がすぐに決まるとは限らない。
毎月の生活費はかかる。
家族がいれば、自分一人の問題でもありません。
そのため、
「辞めたい。でも、お金が不安だから辞められない」
という状態になることがあります。
私自身、会社を辞めたとき、次の仕事が決まっていたわけではありませんでした。
40代で、家族もいる。
長く会社員として働いてきたため、収入がなくなることだけでなく、これまで積み上げてきたものまで失うのではないかという不安もありました。
それでも、当時の働き方をこのまま続けることは難しいと考え、退職を選びました。
もちろん、お金の不安がなくなってから辞めたわけではありません。
むしろ、退職について考える中で分かったことがあります。
それは、
「いくら貯金があれば辞められるのか」だけを考えても、答えは出ない
ということです。
100万円なのか。
300万円なのか。
500万円なのか。
必要な金額は、その人の生活によって違います。
だから私は、退職できるかどうかを考えるとき、
生活費・時間・次の収入
この3つを一緒に考えることが大切だと思っています。
毎月いくら必要なのか。
今ある資金で何か月動けるのか。
その間に、どのくらいの収入を見込めるのか。
この3つが分かると、
「お金がなくなったらどうしよう」
という漠然とした不安を、
「自分はどんな条件なら会社を辞められるのか」
という具体的な判断に変えられるようになります。
この記事では、仕事を辞めたいけれどお金が不安なとき、退職前に確認しておきたいお金について、この3つの視点から整理します。
退職に必要なお金は「貯金額」だけでは決まらない
仕事を辞めようとすると、
「貯金はいくらあれば会社を辞められるのだろう」
と考える人は多いと思います。
もちろん、貯金額は重要です。
ただ、同じ300万円を持っていても、その意味は人によって違います。
月30万円必要なら10か月分。
月20万円なら15か月分。
月15万円なら20か月分です。
さらに、退職後の収入がまったくない場合と、少しでも収入がある場合でも状況は変わります。
つまり、
退職できるかどうかは「いくら持っているか」という一つの数字だけでは決まりません。
そこで、まず確認したいのが生活費です。
①生活費|まず「毎月いくら必要なのか」を知る
会社員として毎月給与が入っていると、生活費を細かく把握していなくても生活できることがあります。
しかし、会社を辞めると状況は変わります。
次の仕事がすぐに決まるとは限りません。
転職しても、以前と同じ収入になるとは限りません。
だからこそ、
自分の生活を維持するために、毎月いくら必要なのか
を知っておく必要があります。
例えば、
- 住居費
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 保険料
- 教育費
- 車などの維持費
- その他の固定費
などです。
ここで重要なのは、無理に切り詰めた「最低生活費」を作ることではありません。
食費を極端に減らす。
娯楽費をすべてなくす。
必要なものまで買わない。
数か月ならできるかもしれません。
でも、それを長期間続けるのは難しいでしょう。
退職後の生活を考えるなら、
「どこまで削れるか」ではなく、「無理なく続けられる生活はいくらなのか」
を見る方が現実的です。
生活費だけでなく、退職後に出ていくお金も確認する
もう一つ確認しておきたいのが、退職後に自分で支払うことになる支出です。
会社員のときには給与から天引きされていたものも、退職後は自分で支払うことになる場合があります。
例えば、
- 健康保険
- 年金
- 住民税
などです。
特に住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職して現在の収入が減っていても支払いが発生することがあります。
さらに、
家電の故障。
車検。
医療費。
冠婚葬祭。
住宅関係の支出。
といった、毎月ではない支出もあります。
そのため、
「月20万円で生活できるから、240万円あれば1年間大丈夫」
と単純には考えない方がいいでしょう。
退職後のお金を考えるなら、
毎月の生活費+税金・社会保険+年間の臨時支出
くらいまでは確認しておく。
その方が、実際の生活に近い金額が見えてきます。
なお、税金や社会保険の負担は、退職時期や前年の所得、家族構成、加入する制度などによって変わります。実際に退職する際には、自治体や年金事務所、健康保険などで最新の情報を確認してください。
②時間|貯金を「何か月動けるか」に変えてみる
生活費が分かったら、次に考えたいのが時間です。
私は、ここが退職を考えるうえでかなり重要だと思っています。
例えば、貯金が300万円あるとします。
「300万円持っている」
だけでは、それが十分なのかどうか分かりません。
そこで、
「このお金で、自分は何か月生活できるのか」
に置き換えます。
仮に毎月20万円必要なら、単純計算では15か月です。
ただし、300万円をすべて生活費として使うわけにはいきません。
急な出費などに備えて100万円を予備資金として残すのであれば、生活に使えるのは200万円です。
すると、
200万円÷20万円=10か月
になります。
つまり、
「貯金が300万円ある」
ではなく、
「予備資金を残しても、10か月は収入がなくても生活できる」
と考えられます。
私は、この「金額を時間に変える」という考え方が大切だと思っています。
お金は、生活だけでなく「考える時間」も作る
なぜ、わざわざ時間に置き換えるのか。
それは、会社を辞めたあと、すぐに次の答えが出るとは限らないからです。
転職するのか。
今までとは違う仕事をするのか。
働き方そのものを変えるのか。
退職後には、いくつもの選択肢があります。
しかし、
「来月には収入を得なければ生活できない」
という状態では、ゆっくり考えることは難しくなります。
条件よりも給与を優先して仕事を探すことになるかもしれません。
その結果、せっかく会社を辞めても、以前と似た働き方を選ぶことになる可能性もあります。
逆に、
「半年は大丈夫」
「1年間は生活できる」
と分かっていれば、焦らず考えられる時間が生まれます。
だから、退職前にお金を準備する意味は、
生活を守ることだけではなく、次の働き方を考える時間を作ること
でもあると思っています。
私自身、会社を辞めたとき、明確な次の仕事が決まっていたわけではありません。
だからこそ今は、
「いくら持っているか」だけでなく、「そのお金で何か月、自分に選択肢を残せるか」
という見方も大切だと感じています。
③次の収入|「以前と同じ年収」ではなく「毎月の不足額」で考える
3つ目が、退職後の収入です。
会社を辞めることを考えると、
「今と同じ年収をどうやって確保するか」
と考えがちです。
年収500万円なら、次も500万円。
年収600万円なら、次も600万円。
もちろん、同じくらいの収入を得られるなら経済的には安心です。
ただ、退職後のお金を考える段階では、
「以前と同じ年収を稼げるか」だけでなく、「毎月いくら不足するのか」
という見方もできます。
例えば、生活に月20万円必要だとします。
退職後の収入がゼロなら、毎月20万円を資金から取り崩します。
一方、何らかの形で月5万円の収入があるなら、毎月の不足は15万円です。
生活に使える資金が200万円なら、
収入ゼロでは10か月。
月5万円の収入があれば、約13か月になります。
つまり、退職後に以前と同じ収入をすぐ作れなくても、
少し収入があるだけで、資金が減る速度と動ける時間は変わります。
ここで大切なのは、「月5万円をどう作るか」という話ではありません。
転職するのか。
別の働き方をするのか。
会社員以外の収入を考えるのか。
それは、その人の状況によって違います。
今回考えたいのは、
退職後の収入をゼロか100かで考えない
ということです。
「今と同じ年収を稼げなければ辞められない」ではなく、
自分の生活に対して、毎月どのくらい不足するのか。
ここまで分かれば、退職に必要なお金もかなり具体的になります。
「生活費・時間・次の収入」を一緒に考える
ここまでの3つをまとめてみます。
例えば、
毎月必要な生活費が20万円。
生活に使える資金が200万円。
退職後の収入は当面ゼロ。
この場合、動ける時間は10か月です。
一方で、月5万円程度の収入を見込めるのであれば、毎月の不足は15万円になり、約13か月になります。
つまり、
生活費がいくらなのか。
今ある資金で何か月動けるのか。
退職後にどのくらいの収入を見込めるのか。
この3つを一緒に見ることで、
「貯金はいくらあれば会社を辞められるのか」
という問いを、
「自分はどんな条件なら会社を辞められるのか」
という問いに変えられます。
私は、この方が現実的だと思っています。
「完全に安心できたら辞める」は難しい
私自身、お金の不安がなくなってから会社を辞めたわけではありません。
次の仕事も決まっていませんでした。
40代で家族もいました。
長く会社員として働いてきたので、給与がなくなることだけでなく、これまで積み上げてきたものまで失うのではないかという不安もありました。
それでも、当時の働き方をこのまま続けることは難しいと考えました。
そして実際に会社を辞めたあとも、不安が完全になくなったわけではありません。
将来の収入は分かりません。
次の仕事がいつ決まるかも分かりません。
予想していなかった支出が発生することもあります。
だから私は、
不安がゼロになることを退職の条件にしなくてもいい
と思っています。
ただし、何も考えずに辞めるという意味ではありません。
大切なのは、
漠然とした不安を、判断できる数字に変えることです。
「お金がなくなったらどうしよう」
ではなく、
「毎月20万円必要」
「予備資金を除いて10か月動ける」
「月5万円の収入があれば約13か月になる」
ここまで分かれば、不安の中身はかなり具体的になります。
お金を「辞められない理由」ではなく「判断する条件」にする
仕事を辞めたいと思っても、お金が不安になるのは当然だと思います。
特に家族がいれば、自分一人だけの問題ではありません。
だからこそ、勢いだけで辞める必要はありません。
一方で、
「お金が不安だから、何があっても会社に残るしかない」
と最初から結論を出す必要もないと思います。
まず確認したいのは、
生活費・時間・次の収入
の3つです。
毎月いくら必要なのか。
今ある資金で何か月動けるのか。
その間に、どの程度の収入を見込めるのか。
この3つが見えてくると、
今辞める。
もう少し資金を準備してから辞める。
次の仕事を決めてから辞める。
今の会社に残りながら準備を始める。
といった選択肢を比較できるようになります。
仕事を辞めるかどうかは、お金だけで決めるものではありません。
でも、お金を整理することで、
「辞められない」と思っていた状態から、「自分はどんな条件なら動けるのか」を考えられる状態
には変えられます。
お金の不安を完全になくすことは難しい。
でも、
生活費を知る。
動ける時間を知る。
次の収入を考える。
ここまでなら、退職する前にもできます。
「お金が不安だから辞められない」で止まるのではなく、
自分はいくらあれば、どれくらいの時間を作れるのか。
まずはそこを数字にしてみる。
それが、退職するかどうかを考えるための一つの判断材料になるのではないでしょうか。
