昔の私は、何かを続けることは良いことだと思っていました。
仕事でも、勉強でも、人間関係でも。
簡単に辞めず、できるだけ長く続ける。
その方が立派だし、途中で辞めることには、どこか「逃げ」のようなイメージもありました。
「石の上にも三年」
「継続は力なり」
そんな言葉を、私たちは子どもの頃から何度も聞いてきたように思います。
もちろん、続けることでしか得られないものはあります。
私自身、一つの仕事を長く続けたからこそ身についた知識や経験があります。
だから、続けることを否定したいわけではありません。
ただ今は、
続けることだけが正しいわけでもない。
そう思うようになりました。
会社を辞めるとき、先のことがすべて見えていたわけではない
私は40代で会社を辞めました。
やりたいことがありましたし、会社員とは違う働き方をしてみたいという気持ちもありました。
振り返れば、勢いもあったと思います。
だからといって、会社を辞めた先の人生が、すべて見えていたわけではありません。
これをやれば必ずうまくいく。
何年後にはこうなっている。
そんな明確な道筋があったわけではありません。
会社を辞めれば、毎月決まった給与が入ってくる生活ではなくなります。
肩書きもなくなります。
これまで積み上げてきたキャリアから外れる不安もありました。
それでも私は会社を辞めました。
そして今振り返ると、
先が見えたから辞められたのではなく、辞めたから見えるようになったものもあった。
そう感じています。
今いる場所から考える未来には、今の前提が入っている
会社員だった頃は、生活の多くが仕事を中心に回っていました。
朝起きて会社へ行き、仕事をして帰る。
翌日も同じように会社へ行く。
その生活の中で将来を考えると、どうしても「会社員であること」を前提に考えていました。
転職するなら、どの会社か。
給与はいくらか。
どんな仕事なら、これまでの経験を活かせるか。
もちろん、それも大切な選択です。
でも、会社を辞めたことで、その前提自体がなくなりました。
すると、
「そもそも会社員でなければいけないのか」
「収入は給与だけでなければいけないのか」
「一つの仕事だけで生活を作る必要があるのか」
そんなことまで考えるようになりました。
会社員のままでも考えることはできたと思います。
でも私の場合、本当の意味で考えられるようになったのは、その外に出てからでした。
環境が変わると、答えが変わるだけではなく、考える問いそのものが変わる。
これは、会社を辞めて初めて気づいたことでした。
辞めたことで、考えるための余白ができた
会社を辞めたあと、すぐに新しい答えが見つかったわけではありません。
むしろ、分からないことは増えました。
それでも、それまでとは違う時間ができました。
今までとは違うことを学ぶ。
ブログを書いてみる。
自分で収入を作ることを考える。
これまでの仕事や経験を、違う角度から見直してみる。
そうしているうちに、それまで選択肢にも入っていなかったことが少しずつ見えるようになりました。
今の私は、一つの仕事だけで生活を作ろうとはしていません。
在宅でできる仕事をしながら、ブログを書き、投資からの収入も持つ。
会社員だった頃の私なら、こうした働き方を自分の将来として考えることは、ほとんどなかったと思います。
最初から、この形を目指して会社を辞めたわけでもありません。
会社を辞めて余白ができた。
その中で考え、試し、また考える。
そうすることで、少しずつ今の形が見えてきました。
だから今は、
未来が見えてから動く方法だけが、人生の変え方ではない。
そう思っています。
今いる場所から離れたことで、初めて見える未来もあります。
ただ、ビジョンがないことと、準備がないことは違う
だからといって、
「先のことなんて考えずに会社を辞めればいい」
と言いたいわけではありません。
生活にはお金が必要です。
家族がいれば、自分一人の問題でもありません。
私自身も、何の準備もなく会社を辞めたわけではありません。
先のビジョンが完全に見えていなくても、辞めるという選択はできる。
でも、その不確実な時間を支えられるだけの準備は必要だと思っています。
ここは、分けて考えた方がいいと思います。
未来が分からないことと、何も備えないことは同じではありません。
答えは持っていなくてもいい。でも、答えを探せる時間を作るための準備はしておく。
私にとっては、その方が現実に近い考え方です。
お金は自由を作る。でも、今の生活を手放せなくすることもある
会社を辞めることを考えたとき、大きな問題になるのがお金です。
収入が増えれば、できることは増えます。
生活も豊かになります。
本来、お金は人生の選択肢を増やしてくれるものだと思います。
一方で、
収入が増える。
生活水準も上がる。
毎月必要なお金が増える。
すると、その収入を失うことが怖くなる。
そんなこともあります。
今の生活を維持するために、今の働き方を続けなければならなくなる。
そうなると、お金によって選択肢が増えたはずなのに、いつの間にか選択肢を変えにくくなっていることもあります。
お金があることと、自由に選べることは、必ずしも同じではない。
会社を辞めてから、そんなことも考えるようになりました。
もちろん、生活水準を下げればいい、会社を辞めればいい、と単純に言える話ではありません。
ただ、
「今の収入を失えないから、この働き方を変えられない」
という状態になっていないかは、ときどき考えてもいいのではないかと思います。
これまで続けた時間より、これから続けたいか
何かを長く続けているほど、辞めることは難しくなります。
ここまで働いてきた。
ここまで経験を積んできた。
ここまで頑張ってきた。
だから、今さら辞めるのはもったいない。
私にも、そういう感覚はありました。
でも、本当に考えるべきなのは、
「これまで何年続けてきたか」
ではなく、
「これからも続けたいのか」
なのかもしれません。
10年続けたから、あと10年続けなければならないわけではありません。
過去に選んだ道が、その後の人生まで決める必要もありません。
そして、辞めたからといって、それまで積み上げてきたものがすべてなくなるわけでもありません。
知識も経験も、自分の中には残ります。
それを持ったまま、違う場所へ行くこともできます。
辞めることは、答えではなく余白を作ることだった
会社を辞めれば人生がうまくいく。
私は、そう思っているわけではありません。
辞めたことで失うものもありました。
収入も、安定も、肩書きもそうです。
それでも私の場合、何かを手放したことで、それまでとは違うことを考えられる余白が生まれました。
そして、その余白の中で初めて見えたものがありました。
会社を辞めたときに思い描いていた未来と、今の私は同じではありません。
それでも、あのとき会社を辞めたことが間違いだったとは思っていません。
正解が見えていたから選んだ道ではない。
選んだあとに考え続けたことで、少しずつ見えるものが増えていったからです。
続けることで見える景色もあります。
でも、
手放したからこそ見える景色もある。
今は、そう思っています。
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