人生を再設計するとき、「失ったもの」より「使えるもの」を棚卸しした話

病気を経験したあと、私はしばらく「失ったもの」ばかり数えていました。

以前のように長時間働ける体力。

会社員としての安定した収入。

思い立ったらすぐ行動できる身体。

何も気にせず予定を入れられる生活。

以前の自分と比べるたびに、「もう元には戻れないのかもしれない」と考えていました。

でも、ある時ふと気づいたのです。

私は、「失ったもの」を数えることには時間を使っていましたが、「今の自分に何が残っているのか」は、ほとんど考えていませんでした。

人生を再設計するために必要だったのは、「失ったもの」を見続けることではなく、「今、使えるもの」を整理することだったのです。

目次

「失ったもの」を数えている間は、前に進めなかった

病気や大きな挫折を経験すると、人はどうしても失ったものに目が向きます。

私もそうでした。

長時間働ける体力。

会社員としての安定。

以前のような集中力。

将来への楽観的な考え方。

もちろん、それらを失ったことは事実です。

でも、「失ったもの」を何度確認しても、現実は変わりません。

むしろ、「以前の自分」と比較し続けることで、「まだ足りない」「まだ戻れていない」と、自分を苦しめていました。

振り返ると、私は「元に戻る方法」を探すことばかり考えていたのだと思います。

「今の自分に使えるもの」を書き出してみた

そこで考え方を変えました。

まず、スマホのメモ帳を開き、「今の自分にできそうなこと」を思いつくまま書き出してみたのです。

経理や会計の経験。

税務の知識。

業務改善やDXに携わってきたこと。

文章を書くことが好きだったこと。

病気を経験したからこそ持てる視点。

家族との時間を大切にしたいという価値観。

一つひとつを見ると、仕事になるとは思えないものばかりでした。

それでも、「今あるもの」を整理してみると、自分では当たり前だと思っていた経験が、少しずつ見えるようになってきました。

一人では見えなかったことを、AIとの壁打ちで整理した

メモを書き出しただけでは、「何ができそうか」はまだ分かりませんでした。

そこで、その内容をAIに見せながら壁打ちをしました。

ただ、「何をすれば稼げますか?」とは聞きませんでした。

最初に伝えたのは、自分の前提条件です。

病気の後遺症があり、体調には波があること。

長時間働くことや、毎日同じパフォーマンスを求められる働き方は続けられないこと。

だから、時間を切り売りするような消耗型の働き方ではなく、少しずつ積み上げていける資産型の働き方を考えていること。

そのうえで、

「これまでの経験を踏まえると、どんなことができそうだと思いますか?」

と壁打ちをしていました。

AIは答えを決めてくれる存在ではありません。

でも、自分では当たり前だと思っていた経験を整理したり、「この経験と、この経験を組み合わせると、こんな形も考えられるかもしれません」という視点を返してくれたりします。

そうやって対話を繰り返す中で、バラバラだった経験が少しずつ一本の線になっていきました。

私が先に決めたのは、「何をするか」ではなく「どう働くか」だった

実は、病気のあとに「ブログでやっていこう」と決めていたわけではありません。

会社員時代から、いつかブログを書いてみたいという気持ちはありました。

でも、それを仕事にしようと考えていたわけではなかったのです。

まず考えたのは、

「今の自分に合う働き方とは何だろう」

ということでした。

私は体調に波があります。

週40時間働こうと決めても、体調によっては思うように働けない日があります。

だから最初から、「時間で働くことだけに頼った収入の得方はしない」と決めていました。

生活を支えるために最低限の時間型の仕事は続ける。

でも、それ以外は少しずつ積み上がっていく働き方を作りたい。

それが、自分の働き方の前提条件になりました。

判断基準は、「10年後も続けられるか」だった

もう一つ、大切にしていた基準があります。

それは、「この先10年後も続けられるか」ということでした。

例えば、SNSやブログの世界には、AIの使い方や最新のハウツーを発信する方法もあります。

もちろん需要はありますし、結果を出している人もいます。

でも私には、そのスタイルは合いませんでした。

新しい情報を追い続けること。

常にPVを追い続けること。

競争の激しい分野で走り続けること。

体調に波がある自分には、長く続けられるイメージが持てなかったのです。

だから私は、細くてもいい。

すぐに結果が出なくてもいい。

それでも10年後も続けられる形を選びたいと思いました。

ブログは、試しながら見つけた答えだった

最初からブログ一本でいこうと決めていたわけではありません。

AIと何度も壁打ちをしながら、「自分には何ができるのか」を考え続けました。

そして、まずはnoteを書いてみようと思いました。

100記事を書いてみて、それでも書き続けたいと思えるか。

自分の体調でも続けられるか。

その結果、「これなら続けられそうだ」と思えたから、WordPressを始めました。

つまり、ブログは最初から用意していた答えではありません。

試しながら、自分に合う働き方を探した結果として見つかった選択肢だったのです。

まとめ|人生の再設計は、「使えるもの」と「続けられる条件」を整理することだった

振り返ると、人生を再設計するとは、新しい自分になることではありませんでした。

まずは、今の自分に残っている経験や知識、価値観を書き出すこと。

そして、それをどう組み合わせれば、自分らしく続けられるのかを考えることでした。

私は、「何をやるか」を先に決めたのではありません。

「どんな条件なら無理なく続けられるか」を先に決め、その条件に合う働き方を探していきました。

病気になったことで、以前と同じ働き方は難しくなりました。

でも、その代わりに、自分に合う働き方を一から考え直す機会を得たとも言えます。

もし今、「何をすればいいのか分からない」と感じている人がいるなら、無理に答えを探そうとしなくてもいいのかもしれません。

まずは、「失ったもの」を数えるのではなく、「今の自分に使えるもの」と「自分が続けられる条件」を書き出してみる。

そこから、自分だけの働き方や生き方が少しずつ見えてくることもあるのだと思っています。

人生を再設計するとは、新しい何かを探すことではなく、今の自分に残っているものを信じ直すことなのかもしれません。

🔶 病気をきっかけに人生を見直した記録をまとめています

この記事では、「使えるものを棚卸しする」という視点から、人生を再設計した過程を書きました。

同じように、病気をきっかけに働き方や生き方、お金との向き合い方がどう変わっていったのかは、こちらの記事にまとめています。

病気で人生はどう変わるのか|手術・リハビリ後に「働き方と生き方」を見直した記録


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この記事を書いた人

会計事務所・事業会社で約20年、税務・経理の仕事に従事。
40代で脊髄腫瘍を経験し、手術とリハビリを経て現在はフリーランスとして働いています。

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