「選ばなかった人生」について整理しておきたい

病気をしてから、
「失ったもの」について聞かれることが増えました。

キャリア。
収入の上限。
昇進や出世の可能性。
組織の中での立場や肩書き。

確かに、病気をきっかけに
以前の延長線にあった人生からは外れたと思います。

ただ、最近はこう感じるようになりました。

それは、
失ったというより、意識的に選ばなかった道が多かった
ということです。

今日はその「選ばなかった人生」について、
一度きちんと整理しておこうと思います。

目次

病気のあとに、切り捨てていった可能性

手術とリハビリを経て、
元の生活に「戻る」ことは現実的ではありませんでした。

体調には波がある。
痛みが出る日もある。
集中力にも限界がある。

そうした前提を受け入れたとき、
私は自然と、そして意識的に
いくつかの可能性を切り捨てていきました。

  • 常に全力を出せる前提の働き方
  • 無理がきかないと成り立たない仕事
  • 余白を削って回し続ける生活設計

これは、
「できなくなったから諦めた」というより、
続けると壊れると分かったから選ばなかった
という感覚に近いです。


「量を増やして回す働き方」を選ばなかった理由

多くの仕事は、
決まった時間、決まった日、
その瞬間に全力で動けること
を前提に設計されています。

体調や事情に関係なく、
「この日、この時間に最大のパフォーマンスを出せるか」が
暗黙の条件になっている。

病気をしてから、
私はその前提そのものに違和感を覚えるようになりました。

体調が不安定な状態で、
量を増やして回す働き方を選ぶことは、
リスクが大きすぎる

これは気合や覚悟の問題ではなく、
構造の問題だと思っています。

だから私は、

  • 稼働量を増やすことで評価を取りにいく
  • 無理を前提にスケジュールを組む
  • 余白を削って帳尻を合わせる

そうした方向性から、
意識的に距離を置くことにしました。


昇進・出世・拡大路線を選ばなかった理由

病気の前であれば、
昇進や出世にまったく関心がなかったわけではありません。

裁量のある立場。
責任のあるポジション。
収入や影響力の拡大。

それなりに魅力もありました。

ただ、病気を経て見えたのは、
それらが自由や調整余地と引き換えに成り立っている
という現実でした。

  • 休めない
  • 代わりがきかない
  • 判断を先送りできない

体調に波がある状態で、
そうした前提を背負い続けることは、
私にとって現実的ではありませんでした。

これは価値観の話ではなく、
続けられるかどうかの判断です。

だから私は、
昇進・出世・拡大といった道を
「選ばなかった」。

それは逃げというより、
壊れないための判断でした。


避けたのは「縮小」ではなく、壊れやすい構造

誤解されやすいのですが、
私は生活を極端にミニマムにしたいわけではありません。

避けたかったのは、
量を増やさないと成り立たない構造です。

  • 常に体調が安定している前提
  • 同じ出力を出し続けられる前提
  • トラブル時の余白がない設計

こうした構造の上に立つこと自体が、
長期的にはリスクだと感じました。

そこで選んだのが、

  • 量より質で価値を出す
  • 判断や設計で負荷を下げる
  • 自分の状態を前提に最適化する

という方向です。

これは後退ではなく、
生き残るための再設計だったと思っています。


意識的に降りた道が、いくつもある

振り返ってみると、
私が降りたのは「可能性」そのものではなく、
前提条件の合わない道でした。

  • 昇進競争
  • 常に上を目指し続ける思考
  • 評価軸を外部に置く働き方

その代わりに、

  • 体調を判断基準にする
  • 続けられる形を最優先する
  • 自分で調整できる余白を残す

そうした軸を選びました。


まだ、道の途中です

正直に言えば、
この選択が最適解かどうかは、今も分かっていません。

ただ一つ、
はっきりしていたことがあります。

それは、
以前と同じ前提では無理だということ。

だから私は、
選び直した。

今も試行錯誤の途中ですし、
この先、また別の判断をするかもしれません。

私も、まだ道半ばです。


まとめ

もし今、
「以前と同じやり方では続かない」
そんな感覚を抱えているなら、

それは何かを失ったというより、
前提が変わっただけなのかもしれません。

無理に答えを出す必要はありません。
私自身、まだ途中です。

ただ、
選ばなかった道を一度整理してみることで、
今の立ち位置が少しだけ見えやすくなることはあります。

この文章が、
あなた自身の「選び直し」を考える
小さなきっかけになれば十分です。

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この記事を書いた人

会計事務所、事業会社で税務・経理の仕事に従事していました。
40代で脊髄腫瘍になり、手術・リハビリをしつつ、現在はフリーランスで仕事をしています。