病気をしてから、
どこかでずっと思っていました。
「元の自分に戻れたらいいのに」と。
体力が戻れば。
集中力が戻れば。
以前と同じように働けるようになれば。
回復とは、
そういうものだと疑わずにいました。
けれどある日、
その前提そのものが、
自分を苦しめていたのかもしれないと気づいたのです。
いつからか、「戻る」ことが目標になっていた
病気をしてから、
自分の中にずっとあった言葉があります。
「元の自分に戻れたら」
体力が戻ったら。
集中力が戻ったら。
以前のように働けるようになったら。
気づけば、
回復とは「過去への復帰」だと思い込んでいました。
戻ろうとするほど、苦しくなった
でも現実は、思っていたほど単純ではありませんでした。
痛みは波のように残り、
体調は日によってばらつく。
できる日もあれば、できない日もある。
それでも頭の中では、
「前はこれくらいできた」
「本当はもっとやれるはずだ」
そんな声が消えなかった。
戻ろうとすればするほど、
今の自分を否定している感覚が強くなっていきました。
ふと気づいた、違和感
ある日、
作業を途中で切り上げたときに、
ふと立ち止まったことがあります。
「もし病気がなかったら、
今の自分を“ダメ”だと思うだろうか」
冷静に考えてみると、
病気になる前の自分は、
こんな基準で人を評価していなかったはずでした。
できない日がある人を、
価値がないとは思っていなかった。
それなのに、
自分だけには、ずっと厳しい基準を課していた。
「元に戻る」前提を、そっと外してみた
そのとき、
一つの考えが浮かびました。
「元の自分に戻らなくていいのではないか」
これは、諦めでも開き直りでもありません。
過去の自分を否定することでもない。
ただ、
戻ることをゴールにするのをやめてみる
という選択でした。
変わってしまったのではなく、変わっただけ
体は以前と同じではない。
働き方も、時間の使い方も違う。
でもそれは、
壊れたわけでも、劣化したわけでもなく、
環境と条件が変わっただけだと、少しずつ思えるようになりました。
以前の自分は、
以前の条件の中で最適化されていただけ。
今の自分は、
今の条件の中で、また別の最適解を探している。
戻らないと決めた日、少し楽になった
「元に戻らなきゃ」という前提を手放したら、
不思議と呼吸が楽になりました。
昨日よりできない日があってもいい。
今日はここまで、でもいい。
今の自分を、
どこかへ連れていく必要はない。
ここから先を、
今の条件で組み立て直せばいい。
まとめ
再生とは、
元通りにすることではありません。
条件が変わった自分で、
もう一度、生活や働き方を設計し直すこと。
あの日、
「元の自分に戻らなくていい」と思えたことで、
ようやくスタートラインに立てた気がしています。
