私は1年前、脊髄腫瘍の手術を受けました。
退院後も続くリハビリと体の痛み。
「この体で、もう一度働けるのだろうか」と、何度も天井を見上げながら考えました。
そんな中で見つけた希望が、在宅ワークという働き方です。
今回は、病気と仕事の両立を目指す方に向けて、私の実体験から見えた「現実」と「可能性」をお伝えします。
働けなくなる不安と、もう一度働きたい気持ち
手術から退院した頃、体力は半分以下。
朝起きて身支度をするだけでも、疲れてしまう日が続きました。
それでも、「また社会とつながりたい」という気持ちは強く残っていました。
長年、会計や経理の仕事をしてきた私は、「デスクワークなら少しずつできるかもしれない」と思い、パソコンを開くことから始めました。
最初は椅子に少しの時間座っているだけで精一杯。
けれど、ほんの少しでも“キーボードを打てた”という感覚が、心の支えになったのを今でも覚えています。
「働く=出社」ではないと気づいた瞬間
以前の私は、「働く=会社に通うこと」だと思っていました。
しかし、病気をしてからは通勤自体が大きな負担になります。
電車に乗る、階段を上り降り──そんな当たり前の動作が難しくなったとき、
「働く形を変えれば、まだ自分にもできることがある」
そう考え方が変わりました。
今の時代は、在宅ワークが選択肢として当たり前になりつつあります。
テレワークや業務委託、フリーランス、クラウドワークスやココナラなど、
パソコン一台あればできる仕事が数多くあります。
そしてそれは、病気を抱える人にとっての“再出発の道”にもなり得ます。
在宅ワークの3つのメリット
在宅で働くようになって、感じたメリットは大きく3つあります。
1. 体調に合わせて働ける
病気による痛みや倦怠感は、他人には見えづらいものです。
私も朝から背中の痛みが強い日は、無理せず午後から作業を始めます。
会社員時代は「休む=迷惑をかける」と思っていましたが、
在宅では自分のペースで調整できるのが何よりの安心です。
リハビリの日は仕事を減らし、調子が良い日は集中する。
そんな波を受け入れる働き方ができるようになりました。
ここで注意なのは、時間が空いているからと仕事を入れ過ぎないことです。もちろん、仕事を増やせば収入も増えますが、体調不良はいつやってくるか、いつまで続くか分かりません。
なので、私はかなり余裕を持って業務を入れるようにしています。もちろん回復したら、徐々に仕事量を増やしていけば良いと思います。
2. 通勤がなく、心身の負担が減る
体調が良い人でも、通勤ラッシュは地獄です。病気で体調が悪い人にとっては、通勤だけで
かなりのエネルギーを使ってしまいます。
在宅ワークに変えてから、通勤のストレスが完全になくなり、
そのぶんの体力を仕事や休養に使えるようになりました。
交通費もかからず、家計にも優しい。
体調の変化に合わせて、環境を自分でコントロールできる自由があります。
3. 経験を活かせる仕事が見つかる
私は経理経験を生かして、会計事務所の下請けや在宅記帳代行をしています。
クライアントとのやりとりだけ、実際に会って打合せします。
成果物を納期までに提出できれば、働く時間や場所を問われません。
私は、体調のこともあるのでなるべく納期の長い業務を受けるようにしています。
その他、投資、経理DX(新しい効率化の仕組み作り)、ブログなど、
病気の状態に合わせて複数の仕事を組み合わせています。
複数より、1つに絞った方がいいのでは?と思われがちなのですが、私は今後の事も考えて
時間で働く仕事より、資産性のある仕事に時間を費やすようにしています。
今は投資以外、収益はほぼないですが、今後数年後を見据えて、コツコツと積み上げていっています。
また、これらの仕事は絶対的な納期がないので、体調が悪い時はもちろんやっていません。
「できることを続ける」──それが在宅ワークの最大の魅力です。
自由の裏にある、在宅ワークの課題
在宅ワークは自由ですが、同時に自分を律する力が問われます。
- 仕事と休憩の区切りが曖昧になる
- つい無理をしてしまう
- 孤独を感じやすい
私も、痛みを我慢して仕事を続け、翌日に寝込むことがありました。
「頑張りすぎない」ことが、両立の一番のポイントです。
対策として、私は以下のようなルールを設けています。
- 午前は考える仕事、午後は入力や軽作業
- 1時間ごとに体のストレッチ
- 1日5kmのジョギング
これを続けるうちに、自分のリズムをつかむ感覚が身についてきました。
完璧でなくていい。
“続けられる形”を探すことが、最初の一歩です。
制度と組み合わせて「現実的な両立」を
在宅で働くことはできても、体調によっては収入が安定しない時期もあります。
そんなときこそ、公的制度をうまく使うことが大切です。
- 高額療養費制度:医療費の自己負担を抑えられる
- 医療費控除:年間10万円を超える医療費があれば所得控除対象
- 障害年金:条件を満たせば生活の基盤になる
制度を活用することで、「働けない期間」を乗り切ることができます。
私自身は、高額療養費制度を使って医療費の支払額を抑えることができました。
「自分を守るのは、制度を知ることから始まる」
これは、病気を経験して実感した真実です。
在宅ワークを始めたい人への3ステップ
在宅ワークに興味はあるけれど、どう始めればいいかわからない──
そんな方に向けて、私が実践した流れを紹介します。
- 得意なことを書き出す
(経理・文章・データなど、自分が苦痛なく続けられる作業) - 小さな案件から受けてみる
クラウドソーシングサイトで単発仕事を経験し、相場感をつかむ。 - 継続依頼を目指す
納期・品質・信頼を積み上げていくと、安定した依頼につながります。
「スキルよりも信頼」。
これは在宅ワークで一番感じたことです。
たとえ体調で動けない日があっても、誠実に対応する姿勢は必ず評価されます。
これは副産物なのですが、ブログを書くようになってからAIの扱いが上手くなりました。AIも私の癖を理解してくれ、プロンプトを書くと8割イメージしているものを作成することができるようになりました。
また、AIを使ってプログラムを書いたりと、新しいことを始めたことで新たな知識も身についてきました。
働き方を変えたら、人生が変わった
病気をしてから、私は働く意味を見つめ直しました。
以前は「時間に追われ、成果を出す」ことがすべてでした。
今は違います。
「自分と家族の時間を大切にしながら働ける」
それが、在宅ワークがくれた一番の価値です。
病気になって、キャリアを失ったと思った。
でも本当は、新しい働き方を得たのだと、今は思っています。
