好奇心に投資するという考え方|役に立つか分からなくても、学ぶことをやめない理由

「それを勉強して、何になるの?」

新しいことを始めようとすると、そんな疑問が浮かぶことがあります。

資格が取れる。

仕事につながる。

収入が増える。

転職で有利になる。

そういう分かりやすい結果があれば、時間やお金を使う理由を説明しやすい。

私も以前は、学ぶことに対して、どこかで「何の役に立つのか」を求めていたように思います。

でも今は、少し考え方が変わりました。

すぐに役に立たなくてもいい。

仕事にならなくてもいい。

回収できるかどうか分からなくてもいい。

「知りたい」と思ったことに時間を使うこと自体が、人生への投資になるのではないか。

最近は、そう考えるようになりました。

目次

以前の私は、学ぶことにも「回収」を求めていた

会社員として働いていた頃、勉強するなら仕事に役立つものを選ぶことが多かったと思います。

経理の仕事をしていたので、会計や税務について学ぶ。

仕事で必要になる知識を調べる。

業務を効率化するために、新しい仕組みを覚える。

どれも必要なことでした。

仕事と学びが、かなり近いところにあったのだと思います。

時間は限られています。

仕事をしながら勉強するのであれば、なおさらです。

だから、

「これは仕事に使えるのか」

「将来の収入につながるのか」

「自分のキャリアにプラスになるのか」

そんな基準で考えることは、ごく自然なことでした。

言い換えれば、学ぶことにも「費用対効果」を求めていたのかもしれません。

40代になって、先の見え方が変わった

ところが40代になり、私は自分の働き方について考えるようになりました。

このまま経理の仕事を続けていくのか。

今持っている経験だけで、50代、60代まで働いていけるのか。

会社を離れたあと、自分には何が残るのか。

それまでの私は、長く経理の仕事をしてきました。

経験も積みました。

管理職にもなりました。

でも、それがそのまま将来の安心につながるとは、だんだん思えなくなっていました。

そこで会社を辞め、データサイエンスを学ぶことにしました。

Python、R言語、SQL、統計学。

それまでの経理とは、かなり違う世界です。

もちろん、まったく目的がなかったわけではありません。

これからデータを扱える人材が必要になるのではないか。

経理の経験と組み合わせれば、何かできるのではないか。

そんなことは考えていました。

でも、

「これを学べば、この仕事に就ける」

という明確な未来が見えていたわけではありません。

今振り返れば、そこにはもう一つ理由があったように思います。

単純に、知らないことを知ってみたかった。

それも、かなり大きかったのだと思います。

好奇心は、予定していた場所には連れていってくれなかった

その後、私の人生は予定していた方向には進みませんでした。

データサイエンスの学校を卒業する頃、病気が分かりました。

入院して、手術を受け、リハビリをすることになりました。

転職して、新しいキャリアを始める。

そんな未来はいったん止まりました。

もし「学びは仕事に使えて初めて意味がある」と考えるなら、私がデータサイエンスに使った時間やお金は、十分に回収できていないのかもしれません。

データサイエンティストになったわけではありません。

Pythonを使って大きなデータを分析する仕事をしているわけでもありません。

学んだことの多くを、今では忘れています。

それでも私は、

「あの時間は無駄だった」

とは思っていません。

むしろ逆です。

あのとき知らない世界に入った経験が、その後の私の考え方をかなり変えました。

学んだ知識より、「知らない世界に入れる」と分かったこと

データサイエンスを学んだことで得たものは、Pythonや統計の知識だけではありませんでした。

40代になっても、それまで知らなかった世界に入れる。

分からないことだらけでも、少しずつ理解できる。

それまでの仕事とは違う考え方に触れることができる。

その経験自体が大きかったと思います。

そして今、私はAIを使っています。

ブログを書く。

データを分析する。

自分の考えを整理する。

小さな業務改善ツールを作ってみる。

最近も、請求書PDFのファイル名を自動で変える小さなツールを作っています。

これが仕事になるのか、売れるのかはまだ分かりません。

でも、「こういうものを自分で作れるのか」と試している時間は面白い。

以前なら、自分とは少し離れた世界だと思っていたことにも手を伸ばすようになりました。

データサイエンスを学んだから、今やっていることがすべてできるようになったわけではありません。

でも、

「分からないなら、触ってみればいい」

と思えるようになった。

これは私にとって、知識以上に大きな変化でした。

好奇心への投資は、回収先を決めなくていい

投資という言葉を使うと、どうしてもリターンを考えます。

100万円を投資したら、いくらになるのか。

資格を取ったら、年収はいくら上がるのか。

勉強したら、どんな仕事に就けるのか。

もちろん、それも大切です。

でも、人生のすべてを同じ基準で考えなくてもいいのではないかと思うようになりました。

本を読む。

知らない分野を勉強する。

行ったことのない場所へ行く。

新しい道具を使ってみる。

AIを触ってみる。

興味を持ったことを少し調べてみる。

その瞬間には、何につながるのか分かりません。

そして、何にもつながらないこともあります。

それでもいい。

好奇心への投資は、

「何になるか」を先に決める投資ではなく、「何かになる可能性」を残しておく投資

なのかもしれません。

人生を再設計するとき、材料がなければ選べない

私はこれまで、人生の再設計について考えてきました。

ただ最近思うのは、人生を設計し直そうとしても、自分の知っている世界だけで考えていたら、選択肢はそれほど増えないということです。

会社員しか知らなければ、

会社員を続けるか、辞めるか。

そんな二択になりやすい。

経理しか知らなければ、

経理を続けるか、別の仕事をするか。

そのくらいしか思いつかない。

でも、少し違う世界を知ると、その間にいくつもの選択肢があることに気づきます。

会社員でも、フリーランスでもない働き方があるかもしれない。

一つの仕事だけで生活しなくてもいいかもしれない。

AIを使えば、自分一人ではできなかったことができるかもしれない。

これまでの経験と新しい知識を組み合わせれば、まだ名前のない仕事を作れるかもしれない。

私はまだ、その答えを見つけたわけではありません。

今も試している途中です。

だからこそ、好奇心を持って知らないものに触れることをやめたくないと思っています。

役に立つかどうかは、あとから決まることもある

若い頃は、人生にはある程度決まった順番があるように感じていました。

勉強する。

就職する。

経験を積む。

役職が上がる。

収入が増える。

その延長線上に将来がある。

でも、実際の人生はそれほど一直線ではありませんでした。

会社を辞めることもありました。

病気になることもありました。

働き方を考え直すこともありました。

想定していた未来が、途中でなくなることもありました。

そうなると、

「今の自分に役立つか」

だけで学ぶものを決めること自体が、少し難しくなります。

今の自分が、5年後も同じ場所にいるとは限らないからです。

それなら、

「役に立つから学ぶ」

だけではなく、

「気になるから学ぶ」

という基準を少し持っていてもいい。

役に立つかどうかは、そのときには分からなくてもいいのだと思います。

好奇心は、未来の自分に渡しておく材料なのかもしれない

私は今でも、効率を考えます。

時間も体力も限られているので、何でもできるわけではありません。

だから、興味を持ったことをすべて学ぶこともできません。

それでも以前より、

「これは何の役に立つのだろう」

という問いを急いで出さなくなりました。

面白そうだから触ってみる。

少し知りたいから調べてみる。

それだけで始めてもいいと思っています。

その知識が仕事になるかもしれない。

別の知識とつながるかもしれない。

何年もあとになって、突然役に立つかもしれない。

そして、何にもならないかもしれない。

それでも、その時点の自分が知らなかった世界を一つ知ることはできます。

人生は、一度設計したらその通りに進むものではありません。

予定していた道がなくなれば、また考え直すことになります。

そのときに必要なのは、完成した答えだけではなく、

「こんな世界もある」と知っていることなのかもしれません。

だから私はこれからも、すぐには役に立たないものにも、少しだけ時間を使ってみたいと思っています。

何になるか分からない。

だからこそ、面白い。

好奇心への投資とは、未来を当てるためのものではなく、

未来の自分が選べるものを、少しずつ増やしておくことなのだと思います。


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この記事を書いた人

会計事務所・事業会社で約20年、税務・経理の仕事に従事。
40代で脊髄腫瘍を経験し、手術とリハビリを経て現在はフリーランスとして働いています。

このブログでは
・病気と働き方
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・人生の再設計
について実体験をもとに発信しています。

主なテーマ
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