一つの仕事に依存しない働き方へ|AI時代でも専門性を捨てなかった理由

「AIに仕事を奪われる。」

最近、そんな言葉を目にする機会が増えました。

特に、経理や事務職はAIに置き換わりやすい仕事として取り上げられることも少なくありません。

私自身、20年以上経理の仕事に携わってきました。

だからこそ、この話題を他人事とは思っていません。

一方で、「AIが出てきたから慌てて準備を始めた」というわけでもありませんでした。

私が将来に危機感を持ったのは、AIが話題になるより前のことです。

40代になり、自分の人生を逆算して考え始めたとき、

「このまま経理だけを続けて、本当に大丈夫なのだろうか。」

そんな疑問が、少しずつ大きくなっていきました。

この記事では、私がなぜ一つの仕事だけに依存しない働き方を考えるようになったのか、そしてAI時代でも専門性を捨てなかった理由についてお話しします。

目次

AIより前に感じていた違和感

私は長い間、経理という仕事に携わってきました。

税理士事務所や一般企業で20年以上経理の仕事に携わり、管理職も経験してきました。

経理は会社にとって欠かせない仕事です。

数字を管理し、お金の流れを把握し、経営を支える。

やりがいもあり、専門性も高い仕事だと思っています。

だから若い頃は、

「経理という専門性があれば、将来も困らない。」

そう考えていました。

しかし、40代に入る頃から少しずつ考え方が変わっていきました。

役職定年。

再雇用による給与の減少。

DXによる業務の効率化。

クラウド会計の普及。

会社を取り巻く環境は、少しずつ変わり始めていました。

もちろん、経理の仕事が明日なくなるとは思っていません。

それでも、

「今と同じ働き方を、あと20年続けられるのだろうか。」

という疑問は消えませんでした。

私が不安だったのは、経理という仕事ではありません。

経理しかできない状態でした。


私は経理を捨てたかったわけではない

誤解してほしくないことがあります。

私は経理という仕事が嫌になったわけではありません。

むしろ、今でも経理は好きな仕事です。

数字から会社の状態を読み取り、改善点を考える。

業務を整理し、より効率的な仕組みを作る。

こうした仕事には、今でも面白さを感じています。

だから、経理を辞めたかったわけではありません。

私が離れたかったのは、

「経理しかできない自分」

という状態でした。

もし会社を辞めたら。

もし社会が大きく変わったら。

もし体調を崩したら。

そのとき、自分には何が残るのだろう。

そんなことを考えるようになったのです。

一つの専門性を持つことは大切です。

でも、一つの専門性だけに人生を預けることには、不安を感じるようになりました。


だから私は、新しい分野を学び始めた

その頃の私は、病気になることなど想像もしていませんでした。

将来への不安はありましたが、まだ健康で、普通に会社員として働いていました。

だからこそ、自分の意思で新しいことを学ぼうと思いました。

選んだのは、データサイエンスです。

Python。

SQL。

統計。

機械学習。

当時の私は、

「経理を辞めてデータサイエンティストになろう。」

と思っていたわけではありません。

経理で培ってきた経験に、新しい知識を加えたい。

そうすることで、将来選べる道を少しでも増やしたい。

そんな気持ちの方が強かったと思います。

今振り返ると、あの頃から私が準備していたのは、

収入を増やすことではなく、

選択肢を増やすことだったのかもしれません。


AIによって変わるのは、仕事ではなく役割

現在では、AIによって多くの仕事が効率化されるようになりました。

経理も例外ではありません。

請求書の読み取り。

仕訳の提案。

帳票の作成。

データ分析。

以前なら人が時間をかけて行っていた作業を、AIが短時間で処理できる場面は確実に増えています。

だからといって、

「経理という仕事がなくなる。」

私はそうは思っていません。

変わるのは、仕事そのものではなく、求められる役割です。

AIは、大量のデータ処理や定型的な作業の効率化で特に力を発揮します。

一方で、

数字に違和感はないか。

会社の実態と合っているか。

経営判断に使える情報になっているか。

こうしたことを判断するには、会社全体の流れや実務を理解している人の経験が欠かせません。

私はこれからも、経理という仕事は必要だと思っています。

ただし、これまで以上に、

「考えること」や「判断すること」が求められる仕事へ変わっていく。

そう考えています。


AIを使うようになって、専門性はむしろ重要だと感じた

現在の私は、AIやPythonを使いながら、経理業務を少し効率化するための小さなアプリも作っています。

きっかけは、これまで何社かで経理として働いてきた経験でした。

会社ごとに請求書や領収書、契約書の形式は異なります。

そのため、経理担当者は内容を確認し、必要な情報を転記し、会計処理を行うまでに、多くの時間を費やしています。

最近ではAIを活用した経費精算システムなども増えてきました。

以前に比べれば効率化は進んでいます。

それでも実際の現場では、まだ手作業が残っている場面が少なくありません。

また、Excel VBAを使って業務を効率化している会社もありました。

ただ、その担当者しか修正できず、担当者が異動や退職をすると改善できなくなる場面も見てきました。

そこで私が考えたのは、

誰でも簡単に使え、ボタン一つで処理できるような仕組みを作れないだろうか。

ということでした。

もちろん、100%すべてのケースへ対応するアプリは目指していません。

例外まで完璧に対応しようとすると、仕組みは複雑になり、保守も難しくなります。

だから私は、

90%程度の業務をシンプルに自動化すること

を目標にしています。

残りの10%は、人が判断すればいい。

私は、この考え方がAIにも共通していると思っています。

AIは万能ではありません。

だからこそ、人が判断し、人が補う前提で設計した方が、結果として長く使える仕組みになると考えています。

そして、このアプリのコードもAIの力を借りながら作っています。

Pythonを学んでいたからこそ、AIが生成したコードを理解し、修正し、自分の目的に合わせて使うことができます。

もしPythonをまったく知らなければ、AIが出したコードが本当に正しいのかさえ判断できなかったでしょう。

この経験を通して、私は改めて感じました。

AIは専門性を置き換えるものではなく、専門性を持つ人の力をさらに引き出す道具なのだと。


作業だけではなく、「考える仕事」が残っていく

私は、これから経理を目指す人に、

「もう経理はやめた方がいい。」

とは思いません。

ただ、昔のように、

「経理だけやっていれば一生安泰」

とは言いにくい時代になってきています。

AIを使う。

業務を改善する。

システムを理解する。

現場と経営をつなぐ。

会社全体を横断して考える。

これからは、こうした役割がより重要になっていくのではないでしょうか。

私が学んだデータサイエンスも同じです。

以前なら時間をかけて行っていた分析を、現在ではAIが短時間で行えるようになりました。

しかし、分析方法を理解していなければ、AIが出した答えが妥当なのか判断することはできません。

AIができることが増えるほど、

「自分で作業できること」より、「出てきた答えを考え、判断できること」。

その価値が、より大きくなっていくのではないかと思っています。


病気によって、人生設計は大きく変わった

会社を退職し、データサイエンスを学んだ私は、新しい仕事へ挑戦しようと考えていました。

しかし、そのタイミングで病気が見つかりました。

手術。

入院。

そして長いリハビリ。

以前のようにフルタイムで働くことは難しくなり、思い描いていた人生設計は、一度立ち止まることになりました。

もしあの頃、

「経理だけを続ければ大丈夫。」

そう考えたまま会社員を続けていたら、病気になったとき、私はもっと大きな不安を抱えていたと思います。

もちろん、データサイエンスを学んでいたから病気を乗り越えられた、という話ではありません。

ただ、新しい分野へ踏み出していた経験は、

「これまでとは違う働き方を考えてもいい。」

そう思えるきっかけになりました。

私は病気によって、

未来は計画どおりには進まないことを身をもって知りました。

だからこそ、

未来を正確に予測することよりも、

変化が起きたときに、自分で次の一歩を選べる状態を作っておくこと。

その方が大切なのではないかと考えるようになったのです。


ブログも、「働き方を作り直す」選択肢になった

退院後、私はブログを始めました。

きっかけは、自分と同じ病気について調べても、術後の生活やその後の経過について書かれた情報が少なかったことです。

私自身、病気が見つかったときや手術の前後には、実際に経験した人の情報を探しました。

だから、自分が経験したことを記録として残しておけば、いつか同じ病気になった人の役に立つかもしれない。

そう思って、ブログを書き始めました。

最初から、ブログを仕事にしようと考えていたわけではありません。

ただ、病気について書き続けていると、次第に自分の働き方や人生についても考えるようになりました。

以前と同じようには働けない。

では、これからどう働くのか。

どんな生活を続けたいのか。

そうしたことを考え、書いていくうちに、ブログのテーマも少しずつ広がっていきました。

病気。

介護。

育児。

会社への違和感。

AIへの不安。

きっかけは違っても、

「これからどう働いていけばいいのだろう。」

と悩んでいる人は少なくありません。

今ではブログは、自分の経験を書き残す場所であると同時に、私にとって新しい働き方を作るための選択肢の一つにもなっています。


専門性を土台に、少しずつ選択肢を増やしていく

現在の私は、一つの仕事だけで生活しているわけではありません。

経理の仕事。

ブログでの情報発信。

配当収入。

そして、AIやPythonを活用した経理業務の自動化アプリの開発。

どれか一つだけに依存するのではなく、小さな柱を少しずつ育てています。

もちろん、どれもまだ完成したものではありません。

試行錯誤の途中です。

それでも以前より安心していられるのは、

「もし一つがうまくいかなくても、他の方法を考えられる。」

そう思えるようになったからです。

これは、収入を増やすことだけが目的ではありません。

体調や社会の変化に合わせて、

その都度、自分の働き方を組み替えられる状態を作ること。

私にとって、一つの仕事に依存しない働き方とは、そのための準備でもあります。


専門性を捨てる必要はない

AIの話になると、

「今の仕事はもう終わりだ。」

「新しい仕事へ移らなければならない。」

そんな極端な意見を見かけることがあります。

でも私は、そうは思いません。

経理には経理の価値があります。

営業には営業の価値があります。

技術職には技術職の価値があります。

専門性そのものが不要になるわけではありません。

むしろ、専門性があるからこそ、

AIを使いこなし、

判断し、

改善につなげられるのだと思います。

大切なのは、

専門性を捨てることではなく、専門性だけに依存しないこと。

自分の専門分野に、新しい知識を少しずつ重ねていく。

会社の外でも活かせる経験を積んでいく。

そして必要であれば、収入源も少しずつ増やしていく。

どんな仕事にも、それぞれの専門性があります。大切なのは、その専門性を捨てることではなく、その上に新しい選択肢を積み重ねていけるかどうかです。

その積み重ねが、将来の選択肢につながるのではないでしょうか。


まとめ|AI時代に準備したいのは「仕事」ではなく「選択肢」

私はAIを恐れているわけではありません。

むしろ、積極的に使っています。

だからこそ感じるのは、

AIができることは、これからも確実に増えていくということです。

一方で、

人にしかできない判断や経験、専門性が必要なくなるとも思っていません。

AIによって専門性が不要になるのではありません。

専門性がある人ほど、AIを自分の力として活用できる時代になった。

私は、そのことを小さなアプリを作る中で実感しています。

だから私は、

AIに負けない仕事を探すのではなく、

変化しても動ける状態を作ることを意識しています。

経理を捨てるのではなく、経理に新しい知識を重ねる。

会社だけに依存するのではなく、会社の外にも小さな選択肢を作る。

収入を一つだけに頼るのではなく、少しずつ分散していく。

そうすることで、人生は予定どおりに進まなくても、自分で次の一歩を選びやすくなると思っています。

私は経理を捨てたかったのではありません。

経理しかできない状態から、少しずつ離れたかったのです。

それが、AI時代でも専門性を捨てなかった理由であり、一つの仕事に依存しない働き方を目指すようになった理由です。


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この記事を書いた人

会計事務所・事業会社で約20年、税務・経理の仕事に従事。
40代で脊髄腫瘍を経験し、手術とリハビリを経て現在はフリーランスとして働いています。

このブログでは
・病気と働き方
・フリーランスという生き方
・人生の再設計
について実体験をもとに発信しています。

主なテーマ
・病気と回復
・働き方の再設計
・フリーランスの生活
・お金と生活防衛