働けなくなる不安の正体|私が一番怖かったのは「普通」が崩れていくことだった

もし働けなくなったらどうしよう。

病気になってから、何度も考えました。

収入がなくなったらどうしよう。

生活できなくなったらどうしよう。

将来はどうなるのだろう。

そんなことばかり考えていました。

でも今振り返ると、本当に怖かったものは少し違っていたように思います。

それは、お金そのものではありませんでした。

一番怖かったのは、「普通」が少しずつ崩れていくことだったのかもしれません。

今回は、病気を経験して感じた「働けなくなる不安の正体」について、自分なりに整理してみたいと思います。

目次

最初は、お金の不安ばかり考えていた

病気になる前、私は「働けなくなること」をほとんど想像したことがありませんでした。

毎日会社へ行く。

毎月給料が振り込まれる。

来年も同じような生活が続く。

そんな未来を当たり前のように思っていました。

だから、病気を経験して最初に思い浮かんだのは、お金のことでした。

収入がなくなったらどうしよう。

生活できなくなったらどうしよう。

家族はどうなるのだろう。

もちろん、これらは大きな不安です。

でも、時間が経つにつれて、少しずつ違うことに気づき始めました。

私が怖かったのは、お金がなくなることだけではなかったのです。

仕事がないことより、仕事が来た時の方が怖かった

働けなくなる不安というと、多くの人は「仕事がないこと」を想像するかもしれません。

私もそうでした。

でも実際は少し違いました。

本当に怖かったのは、仕事が来た時でした。

仕事があること自体は、とてもありがたいことです。

でも今の私は、昨日できたことが今日もできるとは限りません。

午前中は大丈夫でも、午後には体の痛みで集中できなくなることがあります。

気温や天気で体調が変わる日もあります。

薬の影響で眠気・倦怠感が強い日もあります。

そんな状態で納期が生まれると、一気に緊張感が高まります。

「今日はここまで進めないと間に合わない。」

「明日、体調が悪かったらどうしよう。」

そうやって頭の中で逆算が始まるのです。

今振り返ると、仕事が怖かったわけではありません。

自分の限界が分からない状態で働くことが怖かったのだと思います。

「働ける」と「働き続けられる」は別のことだった

病気になる前の私は、働けるかどうかだけを考えていました。

でも病気のあと、それだけでは足りないことに気づきました。

数時間なら働ける日もあります。

短時間なら集中できる日もあります。

でも、それを毎日続けられるとは限りません。

働ける日がある。

でも、無理はできない。

その状態は、想像以上に不安定でした。

以前なら、

「頑張れば何とかなる」

と思っていました。

でも今は、

「頑張り続けられるのか」

を考えるようになりました。

この違いは、とても大きいものでした。

どこにも当てはまらない感覚も、不安だった

私の場合、障害者手帳の取得対象にはなりませんでした。

社会の中では「健常者」として扱われます。

でも実際には、以前と同じようには働けません。

長時間座ることも難しい。

痛みが出る日もあります。

疲れやすい日もあります。

だからといって、「働けない」と言い切れるわけでもありません。

この、

「働けるとも言えないし、働けないとも言えない」

という曖昧な場所にいることも、不安の一つでした。

どこにも当てはまらない感覚。

その感覚は、思っていた以上に苦しいものでした。

一番怖かったのは、「普通」という基準を失うことだった

今振り返ると、一番大きかった不安は「普通」を失うことだったのかもしれません。

もちろん、普通に生活していても、未来は予測できません。

誰にでも不安はあります。

でも、「普通」でなくなると、その不安は一気に大きくなります。

しかも、一つのことではありません。

一つの事象だけなら、人は少しずつ適応できるのかもしれません。

でも、いくつもの「普通」が同時に失われると、不安は想像以上に大きくなります。

例えば、私の場合は左足の機能が少し低下しました。

そのため、信号が点滅した時に急ぐことや走ることが、以前よりも難しくなりました。

退院した頃は、信号が変わりそうなら最初から渡らないようにしていました。

階段では手すりを使うようになりました。

人混みでは人に先に行ってもらうこともあります。

以前の私は、フルマラソンやトレイルランニングをしていました。

走ることや歩くことに不安を感じたことはありませんでした。

でも術後しばらくは、1〜2km歩くだけでも大きな負担でした。

一つひとつは、小さな変化かもしれません。

でも、その小さな変化が積み重なることで、今まで送ってきた生活が少しずつ変わっていきました。

私が失ったのは、歩く速さではありません。

「普通」という基準そのものだったのです。

不安の正体は、未来を予測できなくなることだった

今なら分かります。

私が感じていた不安は、

「左足の機能が落ちたこと」

そのものだけではありませんでした。

今まで当たり前にできていた生活が、当たり前ではなくなっていくこと。

そして、未来を予測しにくくなっていくこと。

そこに、一番大きな不安がありました。

普通であっても、未来は誰にも分かりません。

でも、「普通」でなくなると、その不確実さは何倍にも大きくなります。

今までの経験が、そのまま未来の予測に使えなくなるからです。

だから私は、不安になっていたのだと思います。

不安を消すのではなく、小さくすることを考えるようになった

今でも不安がゼロになったわけではありません。

でも、考え方は変わりました。

不安を消そうとするのではなく、小さくすることを考えるようになったのです。

生活コストを下げる。

収入源を一つに依存しない。

無理な働き方をしない。

私自身、働けない日があっても生活が止まらないように、収入源を一つに依存しない働き方を少しずつ考えるようになりました。

👉 病気を経験してから考えるようになった「3つの収入の仕組み」については、こちらの記事で詳しくまとめています。

・フリーランスが働けなくなったときに備える「3つの収入の仕組み」|病気を経験して気づいた“守りの準備”

体調を優先する。

一つひとつは小さなことです。

でも、その積み重ねが、不安を少しずつ和らげてくれました。

以前の私は、

「元の生活に戻ること」

を目標にしていました。

でも今は違います。

「今の自分でも続けられる仕組みを作ること」

を大切にしています。

まとめ|働けなくなることより、「普通」が崩れていくことが怖かった

病気になる前の私は、働けなくなることを深く考えたことはありませんでした。

でも実際に経験してみると、一番怖かったのは働けなくなることそのものではありませんでした。

今まで当たり前だった生活が、少しずつ変わっていくこと。

そして、「普通」という基準が崩れていくこと。

そこに、大きな不安がありました。

だからこそ今は、収入を増やすことだけを目標にしていません。

働けない日があっても、生活が回る仕組みを少しずつ作ることを大切にしています。

もし今、

「働けなくなったらどうしよう」

と不安を感じている人がいるなら、その不安は特別なものではありません。

私自身も、ずっと感じてきた不安です。

そして、その不安は気合いや根性で消すものではなく、備えや仕組みで少しずつ小さくしていくものなのだと思っています。

👉 病気を経験してから、働き方だけでなく、生き方そのものを見直すようになりました。病気の発見から手術、リハビリ、その後の働き方や考え方の変化までを、ひとつの流れとしてまとめた記事はこちらです。

病気で人生はどう変わるのか|手術・リハビリ後に「働き方と生き方」を見直した記録


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この記事を書いた人

会計事務所・事業会社で約20年、税務・経理の仕事に従事。
40代で脊髄腫瘍を経験し、手術とリハビリを経て現在はフリーランスとして働いています。

このブログでは
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