リハビリを続けながら働くようになって、
少しずつ日常が戻ってきました。
でもある日、ふと思ったんです。
「病気を受け入れること」と
「病気に縛られて生きること」は、違うなと。
私はもう、“病気と闘う”というより、
“病気と共に生きながら、人生をデザインする”段階に来ているのだと思いました。
「病気を中心に生きる」からの卒業
病気が見つかってからの1年間、
私の時間も、予定も、気持ちも、
すべて“病気中心”で動いていました。
体調を優先するのは当然のこと。
でも気づかないうちに、
病気が自分の「主語」になっていた気がします。
「体調が悪いからできない」
「痛みがあるから無理だ」
そんな言葉を、自分に言い聞かせることで
安心していたのかもしれません。
けれど、今は少し違います。
病気を前提にしながらも、
“どう生きたいか”を軸にして動く。
その順番を変えたことで、
日々の景色が大きく変わりました。
“できること”を広げるより、“できる範囲を磨く”
以前は、「もっとできるようになりたい」と思っていました。
でも今は、「いまの体でできる範囲を、深く磨く」方が大切だと思っています。
たとえば、
・短時間でも集中して働く
・リハビリを続けて体を維持する
・文章を書くことで伝える仕事を増やす
一見すると、選択肢が狭まったように見えるかもしれません。
でも、制限があるからこそ、選び方が洗練される。
「できる範囲」で生きることは、
“諦め”ではなく、“整える”ことなんだと思います。
“生き方をデザインする”という考え方
病気をしてから、私はよく「デザインする」という言葉を使うようになりました。
それは、絵や形をつくることではなく、
自分の暮らし方・働き方・時間の使い方を、意識的に組み立てること。
- どんなリズムで働くか
- どこで休むか
- どんな人と関わるか
それらを“自分で決める”ことが、
人生をデザインするということだと思っています。
かつては、与えられた仕組みの中で動いていた。
でも今は、自分の体と心の声をもとに、
一から“生き方の設計図”を描いている感覚です。
“自分の時間”を取り戻すという再生
病気をして、一番変わったのは「時間の感じ方」です。
以前は、仕事や予定に追われて、
1日があっという間に過ぎていきました。
でも今は、
コーヒーを飲みながら朝日を眺める時間が愛おしい。
家族と食卓を囲む時間に、深い満足を感じる。
病気によって“時間が止まった”と思ったあの日。
それは、「自分の時間を取り戻すきっかけ」だったのかもしれません。
忙しさの中で失った“自分の時間”を、
ゆっくりと取り戻していく。
それこそが、私にとっての“再生”でした。
“病気が教えてくれた生き方”を、次につなげていく
病気を経験したからこそ、
見えるようになった世界があります。
- 無理をしない勇気
- 他人を思いやる優しさ
- 続ける力の尊さ
そして何より、
「人生はやり直せる」という確信。
この経験を、
同じように悩んでいる人に届けたい。
病気を通して感じた“生き方の知恵”を、
次の誰かの力に変えていけたらと思っています。
“病気があっても幸せ”は、特別なことではない
幸せは、健康でいることだけではない。
むしろ、「制限の中で自分を活かすこと」もまた、幸せの形です。
焦らず、比べず、
自分のペースで進んでいく。
それが、病気を経験した私が選んだ生き方です。
