私は脊髄腫瘍の手術とリハビリを経て、今も後遺症とともに生きています。
病気をきっかけに、これまでの“当たり前”がすべて止まりました。
歩けるようになるまでに時間がかかり、仕事もできない。
焦りや不安、喪失感——そのどれもが、当時の私を支配していました。
けれど、長い療養生活を経て気づいたことがあります。
「時間の使い方が、人生の使い方になる」
それは、働き方でもなく、生き方そのものを変える“気づき”でした。
病気がくれた「立ち止まる時間」
手術を終えたあとの日々は、まるで時間が止まったようでした。
これまでのように仕事もできず、体も思うように動かない。
「みんなが前に進んでいるのに、自分だけ取り残されている」
そんな焦りに押しつぶされそうになったこともあります。
けれど、ある日ふと思いました。
この“立ち止まる時間”こそが、これまでの自分にはなかったのではないか、と。
それまでの私は、常に「次」「次」と動き続けていました。
休むこと=怠け、立ち止まること=遅れ。
そう信じて疑わなかったのです。
けれど、病気で強制的に止まったとき、初めて心の声が聞こえました。
「今の自分、何を大切にしたいのか?」
「どんな一日を生きたいのか?」
静かな時間の中で、ようやく本当の“自分の声”を聞くことができたのです。
「今日をどう使うか」で、人生の質が変わる
健康だった頃の私は、毎日を“こなすこと”で精一杯でした。
朝起きて仕事に行き、夜は疲れて寝る。
明日も同じことの繰り返し。
でも、病気をして時間が止まったとき、気づいたんです。
人生は、「何をするか」よりも「どう時間を使うか」で決まるということに。
たとえば、朝の10分でコーヒーを淹れ、空を眺める。
夜の数分、家族とゆっくり話す。
そんな小さな時間にこそ、幸せの種がある。
「やらなきゃいけないこと」に追われる毎日では、
本当に大切な時間はあっという間に流れていってしまいます。
病気を通して、私は“生きるペース”を自分で選ぶことの大切さを知りました。
体と心のリズムを取り戻す
療養中、私は“できないこと”ばかりに目を向けていました。
歩けない、仕事ができない、動けない。
でも、そんな日々の中で小さな変化を数えるようになったんです。
「今日は少し長く歩けた」
「昨日よりも痛みが少なかった」
その積み重ねが、少しずつ自信を取り戻す時間になりました。
やがて気づいたのは、体の回復と心の回復にはリズムがあるということ。
焦っても早くは進まないし、立ち止まることにも意味がある。
この“心のリズム”を感じ取るようになってから、
私の生活は穏やかになりました。
朝は無理に予定を詰めず、まずは体を慣らすこと。
昼は仕事に集中し、夜はスマホを閉じて静かな時間をつくる。
そんなリズムを意識するだけで、
一日一日が「自分のもの」になっていく感覚があります。
「時間を投資する」という生き方
私はいま、記事を書く時間を「投資」と考えています。
お金の投資は結果が数字で返ってきますが、
時間の投資は、未来の自分を育てる投資です。
誰かの役に立つ文章を書こうと努力する時間、
本を読んで知識を蓄える時間、
子どもと笑い合う時間——。
それらはすべて、“未来をより良くするための積み重ね”だと思っています。
病気をして働けなかった日々は、無駄ではありませんでした。
「時間をどう使うか」を見つめ直す、かけがえのない投資期間だったのです。
時間の使い方には「その人の哲学」が出る
時間の使い方を見ると、その人の価値観が見えてきます。
・他人の期待に応えるために時間を使う人
・自分を成長させるために使う人
・大切な人と過ごすために使う人
どれも間違いではありません。
ただ、誰のための時間なのかを意識できるかどうかで、
人生の充実度は大きく変わります。
私の場合、病気になる前は“他人の期待”のために生きていました。
でも今は、“自分と家族のため”に時間を使うようになった。
その違いだけで、毎日の幸福度がまるで違うんです。
「時間を守る」という生き方
病気をして痛感したのは、体も時間も有限だということです。
一度健康を失うと、時間の尊さが身に染みます。
だからこそ、私は今こう決めています。
- 無理な人間関係には時間を使わない
- 心が動かない仕事は断る
- 一日一回でも、心が安らぐ時間をつくる
“時間を守る”とは、すなわち“自分を守る”こと。
他人のスケジュールに振り回されず、
自分のリズムで生きる勇気を持つことです。
焦らず、比べず、自分のペースでいい。
そのリズムを大切にできるようになったとき、
人生の見え方は驚くほど変わります。
立ち止まることは、怠けではない
もしあなたが今、「何もできていない」と感じているなら、
それは“休息”ではなく“準備”の時間かもしれません。
立ち止まることは、怠けではありません。
心と体が次のステップに向かうための、大切な調整期間です。
焦らず、自分を信じて、少しずつ進めばいい。
昨日より1歩でも動けたなら、それは立派な前進です。
まとめ:「時間の使い方」が人生を変える
時間は、誰にでも平等に与えられた唯一の資産。
でも、その使い方次第で、人生の形はまったく変わります。
病気を経て私は、「お金よりも時間のほうが価値がある」と心から思うようになりました。
だからこそ、これからも——
- 家族と笑う時間
- 自分を育てる時間
- 心を整える時間
この3つを軸に生きていこうと思います。
そして、この記事を読んでくださったあなたにも伝えたい。
「時間の使い方」は、「生き方の選び方」でもある。
今日という一日を、どう使うか。
その積み重ねが、未来のあなたをつくります。
