病気で落ち込む日があっても、前に進むための思考法|「受け入れる力」を育てる5つのステップ

もしあなたが今、病気や後遺症、うつ状態などで心が沈んでいるなら──
この記事は、少しでも心の整理のヒントになるかもしれません。

私は脊髄腫瘍の手術を受け、長期間の神経圧迫による後遺症で長いリハビリを経て、ようやく「自分を受け入れる」という感覚をつかめるようになりました。
体の痛み・痺れ・麻痺は現在も残っており、リハビリも続けています。

今回はその実体験をもとに、「病気で落ち込む日があっても、前に進むための思考法」を5つのステップでお伝えします。

目次

「落ち込むのは当たり前」と知る

病気になると、誰もが「なんで自分が」と思う瞬間があります。
どれだけ前向きな人でも、突然の診断や痛み、制限を前にすれば、心が揺れ動くのは自然なこと。

私も最初は「何かの間違いだ」「すぐ治る」と信じていました。
けれど現実を突きつけられ、どうにもならない不安の波に飲み込まれる日が続きました。

私よりもずっと大きな病気と向き合いながら、前を向いて生きている方を見ると、「本当にすごいな」と感じることもありました。

それに比べて、私はなかなか前を向けず、どうしても気持ちが沈んでしまう日々が続いていました。
状況だけ見れば私のほうが恵まれているのに、それでも心がついていかず、まるで人生が止まってしまったような感覚でした。

ここで大切なのは、「落ち込むこと=弱さ」ではないと理解すること。
落ち込むのは、ちゃんと現実を受け止めようとしている証拠なんです。

いわば、受け止めるための準備段階なのです。


無理にポジティブにならなくていい

病気を経験すると、「前向きにいよう」「がんばらなきゃ」と自分を奮い立たせたくなります。
しかし、心が追いつかないうちにポジティブを装うのは、かえって自分を苦しめてしまいます。

私も当初は「治る方法」を探すことに必死でした。
リハビリ、運動、筋トレ──とにかくできることを全部試しました。
自分自身で言うのも変ですが、相当リハビリの努力はしてきました。

でもある日、ふと気づいたんです。
“治そう”とする努力が、自分を責める原因になっていたことに。

無理にポジティブになるより、「今日はよく頑張った」と認めることの方が、心をずっと軽くしてくれます。

ここで重要なことは、たとえ「小さなこと」でもいいのです。

・今日は、少しだけ立てた
・外に買い物に行けた
・自分の気持ちをノートに書けた など


「元に戻す」より「今を生きる」

手術後、私の体には後遺症が残りました。
ある程度の覚悟はしていましたが、やはり実際に一生この後遺症と付き合うことになるかもしれないと思うと、
心が折れそうになります。

どれだけ努力しても、完全には元に戻らない──この現実を受け入れるのには時間がかかりました。
術後1年でようやく、今少しずつ受け入れることができ始めてきています。

でも正直言うと、完全には受け入れることはできていません。

特に、自分がずっと頑張ってきたマラソンが出来なくてとても悔しいです。
毎日、少しでも走る練習をするのですが、足の筋力低下で5km~10kmが限界です。

今まで軽く走っていた距離なのに、どれだけ練習しても足の力が抜け疲れやすく、これ以上無理するなって脳が指令を出してくるのです。

そんな中、リハビリの先生に言われた言葉があります。

「“元に戻す”ことより、“今できることを増やす”ほうがずっと大切ですよ。」

この言葉をきっかけに、考え方が少し変わりました。
「短い距離だったら走ることができる」「体の痛みで長時間労働は無理でも短時間なら働ける」
──それだけで十分だと感じられるようになったのです。

逆に、それをデフォルトとして物事を考えるようになったのです。

短い距離しか走れなかったら、それを何回か繰り返せば長い距離が走れる。
長時間労働で体に負担がくるのであれば、短時間でできるように仕事のやり方を変えればいい。

「完璧な回復」ではなく、「今の自分の中でベストを尽くす」。
それが、病気と共に生きるということだと思います。


「受け入れる」とは、諦めることじゃない

多くの人が、「受け入れる=諦める」と誤解します。
でも実際はその逆で、受け入れることは努力をやめることではなく、方向を変えることです。

術後、左足が全く動きませんでした。でもリハビリをして見た目では普通に動けるところまで回復しました。
とはいえ、今まで動かしていた感覚とは全く違います。

人間の体は不思議ですよね。
練習をすることで、体の他の箇所が補って左足を動かしているんだと思います。

脳がその動きを完全にはインプット出来ていないのでまだ違和感はありますが、
訓練でそれも克服できると信じて、今もリハビリを続けています。

ただし「元の自分に戻るため」ではなく、「今の自分を少しでも快適にするため」にです。

「受け入れる」とは、限界を認めたうえで、“今の自分を生かす選択”をすること。
それは弱さではなく、成熟した強さなのだと感じています。


受け入れには「時間」が必要

私は手術から「心が落ち着くまで」に1年以上かかりました。
焦っても、どれだけ本を読んでも、心はすぐには変わりません。

でも、時間とともに「心の筋肉」も少しずつ強くなっていきます。
痛みや不安を抱えながらも、毎日を積み重ねることで、「これが今の自分だ」と思える瞬間が増えていくのです。

受け入れは、急がなくていい。比べなくていい。
それぞれのペースで、少しずつ整っていくものだから。

今、私は病気になって逆に良かったと思い始めています。
理解できないかもしれませんが、
病気になったからこそ、
生きるとは何か?
何のために生きているのか?
自分に取って何が大切なのか?
今まで考えなかった、生きるための
本当の本質を考えるようになったからです。


まとめ|落ち込む日も、前に進んでいる

病気で落ち込む日があっても、それは「前に進めていない」わけではありません。
むしろ、心が立ち止まりながらも現実と向き合おうとしている証です。

「落ち込んでもいい」「泣いてもいい」「何もできなくてもいい」
そうやって、少しずつ心を整えていけばいい。

私自身、まだ道の途中ですが、こうして書くことで心が整理されていくのを感じています。

もし今、あなたが苦しさの中にいるなら──焦らなくて大丈夫。
きっとあなたなりの「受け入れる瞬間」が訪れます。
かかる時間も人それぞれ。
慌てなくていいんです。

その日まで、今日できることを一つずつ。
それが、前に進むということなのだと思います。


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この記事を書いた人

会計事務所、事業会社で税務・経理の仕事に従事していました。
40代で脊髄腫瘍になり、手術・リハビリをしつつ、現在はフリーランスで仕事をしています。